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退職の手続き

【退職後の健康保険】任意継続と国民健康保険はどっちが得?選び方を解説

退職後の健康保険|任意継続と国民健康保険の比較

退職を決めたあと、意外と後回しになりやすいのが健康保険の手続きです。

「会社を辞めたら保険証はどうなるんだろう」「国民健康保険に入るしかないのかな」。そんな曖昧なまま退職日を迎えて、あとから保険料の請求額を見て青ざめる人を、私は人事の現場で何人も見てきました。

結論から言うと、退職後の健康保険には3つの選択肢があります。そして、どれが安くなるかは人によって完全に逆転します。一律に「任意継続のほうが得」とも「国保のほうが安い」とも言えません。

この記事では、元人事の立場から、3つの選択肢の中身と、自分のケースでどれを選ぶべきかを判断する手順を順番に整理します。金額そのものは地域と収入で変わるので断定しませんが、あなたが自分で見積もれる状態までは必ず持っていきます。

📝 この記事でわかること
  • 退職後の健康保険は「任意継続」「国民健康保険」「家族の扶養」の3択であること
  • 任意継続の条件と、退職日の翌日から20日以内という短い期限
  • 任意継続の保険料が「上限のある全額自己負担」で決まる仕組み
  • 会社都合など非自発的な離職なら、国保の保険料が大きく軽減される制度
  • 扶養家族の人数で有利・不利が逆転する理由
  • 迷ったときに3日でできる、比較と決定の手順

退職した翌日から、健康保険は「自動では」続かない

まず前提を揃えます。会社員のあいだ加入していた健康保険は、退職日の翌日に資格を失います。手元に残っている保険証も、その時点で使えなくなります。

退職日の翌日に資格を失う、という原則

「月末まで有効なんじゃないの」と思う方が多いのですが、そうではありません。資格を失うのは退職日の翌日です。8月31日付で退職したなら9月1日から、8月20日付で退職したなら8月21日から、健康保険証は使えません。

保険証は会社に返却します。返却を忘れたまま医療機関で使ってしまうと、健康保険が負担した分をあとから返す手続きが必要になります。悪意がなくても手間は同じなので、返却は退職日までに済ませてください。

注意
資格喪失後に古い保険証を使って受診すると、健康保険が立て替えた7割分をあとから請求されます。新しい保険の手続きが間に合っていない期間に受診したときは、窓口でいったん全額を支払い、加入手続き後に払い戻しを申請するのが原則の流れです。受診時に「退職して手続き中」と伝えておくと、その後の説明がスムーズになります。

選択肢は3つ|任意継続・国民健康保険・家族の扶養

退職後にすぐ次の会社へ入社する場合を除くと、選択肢は次の3つです。どれか1つを自分で選んで、自分で手続きします。会社はやってくれません。

選択肢 加入先 保険料の決まり方 主な期限
① 任意継続 退職前と同じ健康保険(協会けんぽ・健保組合) 退職時の標準報酬月額をもとに全額自己負担(上限あり) 退職日の翌日から20日以内
② 国民健康保険 お住まいの市区町村 前年の所得と世帯人数をもとに市区町村が計算 資格喪失日から14日以内が原則
③ 家族の扶養 家族が加入している健康保険 追加の保険料はかからない 家族の勤務先の規定による

ここで大事なのは、①だけが「選べる期間が極端に短い」ということです。20日を過ぎると、原則として任意継続という選択肢そのものが消えます。だから比較は「任意継続の期限」から逆算して進めるのが正解になります。

何もしないとどうなるか

手続きをしないまま放置しても、国民健康保険の加入義務は消えません。日本は国民皆保険なので、どこかの公的医療保険に必ず属することになります。

問題は、届出が遅れても保険料は資格を得た日までさかのぼって請求されるという点です。「まだ入っていないから払わなくていい」わけではなく、遅れた分がまとめて来るだけです。そのうえ、届出前に受診した医療費はいったん全額自己負担になります。得することは何もありません。

ポイント
退職後の健康保険で本当に損をするのは、「高いほうを選んでしまった人」ではなく「期限を逃して選べなくなった人」です。まずはカレンダーに「退職日の翌日+20日」を書き込むところから始めてください。

任意継続とは?条件と期限を先に押さえる

任意継続は、退職前に入っていた健康保険に、退職後も個人として最長2年間そのまま残る制度です。保険証の見た目も、受けられる医療の内容も、会社員時代とほとんど変わりません。

加入できる人の条件

誰でも使えるわけではなく、2つの条件があります。

退職日までに、健康保険の被保険者期間が継続して2ヶ月以上あること

退職日の翌日から20日以内に申請すること(協会けんぽの場合)

「継続して2ヶ月以上」という部分がポイントです。入社してすぐ辞めた場合や、間にブランクを挟んで通算2ヶ月になる場合は該当しません。試用期間中でも健康保険に加入していれば期間としてカウントされます。

健康保険組合に入っていた方は、組合ごとに独自のルールが上乗せされていることがあります。在職中に受け取った資格喪失の案内か、組合のホームページで確認してください。

申請期限は「退職日の翌日から20日以内」

この20日は、営業日ではなく暦の日数です。土日祝を含めて数えます。末日が土日祝にあたる場合は翌開庁日まで認められますが、それ以外の遅れは基本的に受け付けられません。

郵送で申請する場合は、消印ではなく到着が期限内である必要があります。実質的に使える日数は2週間強だと考えておくと安全です。

01
退職日を確定させる
退職届の受理日ではなく、実際の退職日が起算点になります。
02
必要書類を用意する
任意継続被保険者資格取得申出書のほか、扶養家族を入れるなら続柄と収入がわかる書類が必要です。
03
20日以内に提出する
協会けんぽの場合は住所地の支部へ。健保組合の場合は組合の指定先へ提出します。
04
初回保険料を期限までに納める
納付書が届いたら期限内に納付します。ここを落とすと資格が取れません。
注意
任意継続でいちばん多い失敗は、初回保険料の納め忘れです。申請書を出しただけでは加入は完了せず、初回の保険料を期限までに納めなかった場合は「はじめから任意継続被保険者にならなかった」扱いになります。納付書が届いたら、その日のうちに支払ってしまうのが確実です。

保険料の決まり方|「全額自己負担」だが上限がある

会社員のあいだ、健康保険料は会社と自分で半分ずつ負担していました。任意継続になると、この会社負担分がなくなります。つまり単純計算で在職中の約2倍です。ここが多くの人が驚くポイントです。

ただし、青天井ではありません。任意継続の保険料のもとになる標準報酬月額は、次の2つのうち低いほうが使われます。

比較するもの 内容
① 退職時の標準報酬月額 退職直前の給与水準から決まっていた金額
② 全被保険者の平均標準報酬月額 前年9月30日時点の平均。協会けんぽの令和8年度(2026年度)は32万円

この仕組みのおかげで、給与が高かった人ほど上限に頭を押さえられ、「2倍」ではなく「2倍未満」に収まります。逆に、もともと給与が上限を下回っていた人は、そのまま約2倍になります。

ポイント
協会けんぽの令和8年度の上限は32万円で、令和7年度から据え置きです。この上限は毎年度見直されるため、退職する年度の金額を必ず確認してください。また、加入している健康保険組合の場合は上限の考え方が異なることがあります。

保険料率は都道府県ごとに異なります。40歳から64歳の方は、これに介護保険分が上乗せされます。正確な金額は、協会けんぽの都道府県別保険料額表か、加入先の窓口で確認するのが確実です。

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国民健康保険とは?保険料は前年の所得で決まる

国民健康保険は、お住まいの市区町村が運営する制度です。会社の健康保険に入っていない人が加入します。

市区町村ごとに計算方法が違う

国民健康保険料は、おおまかに次の要素を足し合わせて決まります。呼び方や配分は自治体によって違います。

区分 何にかかるか
所得割 前年の所得に応じてかかる部分
均等割 加入する人数に応じて1人あたりでかかる部分
平等割 1世帯あたりでかかる部分(採用していない自治体もある)
資産割 固定資産税額に応じてかかる部分(採用していない自治体が多い)

同じ収入でも、住んでいる市区町村が違えば保険料は変わります。「知人が国保のほうが安かった」という話がそのまま自分に当てはまらないのは、このためです。

「前年の所得」で決まるという落とし穴

ここが退職者にとっていちばん厳しい点です。国民健康保険料は、退職後の収入ではなく前年(1月〜12月)の所得をもとに計算されます。

つまり、去年フルタイムで働いていた人が今年退職すると、収入がゼロに近い状態で、働いていた頃の所得を前提にした保険料を請求されることになります。これが「国保が高い」と言われる最大の理由です。

注意
退職した年ではなく翌年度の保険料が下がる仕組みです。退職直後の1年間は高く、その次の年度から安くなる、という時間差があります。家計を組むときは、この時間差を織り込んでおいてください。

世帯人数分かかる

もう1つの大きな違いが、扶養という考え方がないことです。会社の健康保険なら、配偶者や子どもを扶養に入れても保険料は増えませんでした。しかし国民健康保険では、加入する家族の人数分だけ均等割がかかります

そのため、扶養家族が多い人ほど国保は不利になりやすく、独身で扶養家族がいない人ほど国保が有利になりやすい、という傾向が出ます。

手続きの期限は14日以内が原則

国民健康保険の届出は、資格を失った日から14日以内が原則です。任意継続の20日より短いので、「任意継続をやめておこう」と決めた人ほど急ぐ必要があります。

手続きの窓口はお住まいの市区町村の国保担当課です。退職を証明する書類(健康保険資格喪失証明書や離職票など)と本人確認書類を持参します。必要書類は自治体によって差があるので、行く前に電話かホームページで確認しておくと二度手間になりません。

【最重要】非自発的な離職なら、国保の保険料は大きく下がる

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。倒産・解雇・雇止めなど自分の意思によらない理由で離職した人には、国民健康保険料の軽減制度があります。これを知らずに任意継続を選んでしまう人が本当に多い。

軽減の内容|前年の給与所得を「30%」とみなす

軽減の中身はシンプルです。保険料を計算するとき、前年の給与所得を100分の30として扱うという仕組みです。所得が3割として計算されるので、所得割の部分が大きく下がります。

この軽減は保険料の計算だけでなく、高額療養費の自己負担限度額を決める所得区分の判定にも使われます。医療費がかさむ時期にいる方にとっては、二重に効いてくる制度です。

ポイント
対象になるのは給与所得だけです。事業所得や不動産所得など、給与以外の所得は軽減の対象になりません。副業の所得が大きい方は、思ったほど下がらない場合があります。

対象になる人|離職理由コードで決まる

対象かどうかは、雇用保険の受給資格者証(または受給資格通知)に印字されている離職理由コードで判定されます。自己申告ではありません。

区分 離職理由コード 主な内容
特定受給資格者 11・12・21・22・31・32 倒産、解雇、事業所の廃止、退職勧奨など
特定理由離職者 23・33・34 雇止め、期間の定めのある労働契約が更新されなかった場合など

離職日時点で65歳未満であること

ハローワークで雇用保険の手続きを済ませ、受給資格者証などを受け取っていること

離職理由コードが上の表のいずれかに該当すること

注意
自己都合退職の一般的なケース(コード40番台など)は、この軽減の対象外です。ただし、体調の悪化や家族の介護など「やむを得ない事情」がある自己都合退職は、ハローワークの判断で特定理由離職者と認められることがあります。離職票の離職理由に納得がいかない場合は、退職の経緯がわかる資料を持ってハローワークに相談する価値があります。

軽減される期間と申請方法

軽減が適用されるのは、離職日の翌日が属する月から、その月が属する年度の翌年度末までです。年度は4月から翌年3月までなので、離職した時期によって実際の軽減期間は変わります。

離職した時期の例 軽減が続く期間の目安
2026年4月に離職 2026年4月分から2028年3月分まで(およそ2年間)
2027年2月に離職 2027年2月分から2028年3月分まで(およそ1年2ヶ月)

この表からわかるのは、年度の前半に離職した人ほど軽減の恩恵が長いということです。退職日を自分で選べる立場にあるなら、判断材料の1つに入れてよいと思います。

01
ハローワークで雇用保険の手続きをする
受給資格者証または受給資格通知を受け取り、離職理由コードを確認します。
02
市区町村の国保窓口へ行く
軽減の届出をします。自動では適用されません。
03
必要書類を提出する
受給資格者証など、本人確認書類、マイナンバー確認書類が一般的です。
04
軽減後の保険料を確認する
通知が届いたら、任意継続の見積もりと並べて比べます。
ポイント
この軽減は申請しないと適用されません。市区町村が離職理由を自動で把握してくれるわけではないので、自分から届け出る必要があります。必要書類や届出先の名称は自治体で異なるため、お住まいの市区町村のホームページで確認してください。
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どっちが得か?3日で終わる比較の手順

ここまでの内容を、実際に使える手順に落とし込みます。期限が短いので、退職日が決まった時点で動き始めるのが理想です。

手順①|任意継続の金額を出す

加入している健康保険(協会けんぽの都道府県支部、または健保組合)に問い合わせると、自分の場合の月額を教えてもらえます。協会けんぽなら都道府県別の保険料額表から自分で概算することもできます。

電話で聞くときは「退職予定日」「退職時の標準報酬月額」「扶養に入れる家族の人数」を手元に用意しておくとスムーズです。

手順②|国民健康保険の金額を出す

お住まいの市区町村の国保担当課に、前年の所得がわかる資料(源泉徴収票など)を持って相談します。電話でも概算を教えてもらえる自治体が多いです。このとき、非自発的失業の軽減が使えるかどうかを必ず一緒に聞いてください。軽減ありとなしでは金額がまったく違います。

手順③|家族の扶養に入れるか確認する

配偶者や親が会社の健康保険に入っているなら、扶養に入れないかを確認します。入れるなら、追加の保険料はかかりません。3つの中で最も負担が軽い選択肢です。詳しくは次の章で説明します。

手順④|2年分で並べて比べる

月額だけで比べると判断を誤ります。任意継続は原則2年間、国保の軽減も年度末までという期限があるからです。「1年目の合計」と「2年目の合計」を並べて見てください。

状況 有利になりやすい選択肢 理由
扶養に入れる家族がいる 任意継続 国保は人数分の均等割がかかるため
独身・扶養家族なし・会社都合退職 国民健康保険(軽減あり) 所得が3割とみなされ大きく下がるため
独身・扶養家族なし・自己都合退職 ケースによる 軽減が使えないため、金額を出して比べるしかない
前年の所得が少なかった 国民健康保険 所得割が小さくなるため
配偶者や親の扶養に入れる 家族の扶養 追加の保険料がかからないため
注意
よくある誤解として「任意継続は途中でやめられないから2年縛り」というものがありますが、これは現在では正しくありません。2022年1月の法改正により、本人の申出による任意脱退ができるようになりました。詳しくは後の章で説明します。

比較の結果を1枚にまとめる

任意継続の月額と、2年分の合計

国民健康保険の月額(軽減あり/なしの両方)と、年度末までの合計

扶養に入れるかどうかの可否と、入れる場合の条件

任意継続の申請期限(退職日の翌日+20日)

国民健康保険の届出期限(資格喪失日+14日)

この5つが埋まれば、迷う要素はほとんど残りません。調べる時間がどうしても取れないなら、まず市区町村に電話して軽減の可否だけでも聞いてください。そこが最も金額を動かします。

見落とされがちな3つ目|家族の扶養に入る

任意継続と国保の2択で考えている人が多いのですが、条件を満たすなら家族の扶養に入るのが最も負担が軽い選択肢です。検討せずに切り捨てるのはもったいない。

扶養に入るための収入の条件

被扶養者として認められるには、収入の条件を満たす必要があります。一般的な目安は、年間収入が130万円未満(60歳以上または一定の障害がある方は180万円未満)で、かつ被保険者の収入の2分の1未満であることです。

ここで大事なのは、この「年間収入」が過去の実績ではなく、これからの見込みで判断される点です。退職して収入が途絶えるなら、その時点からの見込みで判断されます。

失業保険をもらうと外れることがある

注意が必要なのが、雇用保険の基本手当(失業保険)です。失業保険は非課税ですが、健康保険の扶養の判定では収入として扱われます

実務上は「基本手当の日額が3,611円以上かどうか」を目安にしている健康保険が多くあります。日額3,611円は、360日換算でおよそ130万円になる水準です。これを超えると、受給している期間は扶養から外れる扱いになるのが一般的です。

ポイント
つまり「給付制限期間中は扶養に入り、受給が始まったら外れる」という使い分けをしている人がいます。ただし、この扱いは健康保険組合ごとに判断が分かれる部分です。出たり入ったりを認めない組合もあるため、必ず家族の勤務先を通じて事前に確認してください。

手続きは家族の勤務先を通じて行う

扶養の手続きは、あなた自身ではなく家族の勤務先を通して行います。扶養に入れる家族に、会社の担当部署へ申し出てもらってください。

必要書類は健康保険によって違いますが、退職を証明する書類(資格喪失証明書や離職票の写し)と、収入の見込みを示す書類を求められるのが一般的です。書類が揃うまでに時間がかかることがあるので、退職前に話を通しておくと安心です。

任意継続を選んだあとに知っておきたいこと

任意継続を選んだ場合、途中で状況が変わることがあります。資格を失うケースと、自分からやめる方法を押さえておきましょう。

資格を失うのはどんなときか

協会けんぽの場合、任意継続被保険者の資格を失うのは次のようなときです。

資格を失う理由 内容
就職して別の健康保険に入った 転職先の健康保険の被保険者になったとき
保険料を納付期限までに納めなかった 納め忘れた時点で資格を失う。再加入はできない
後期高齢者医療制度の対象になった 原則75歳になったとき
本人が亡くなった
本人が「やめたい」と申し出た 2022年1月から可能になった任意脱退
注意
任意継続でいちばん怖いのが保険料の納め忘れです。1回でも納付期限を過ぎると資格を失い、原則としてやり直しがききません。口座振替や前納の制度を使えるかどうかを、加入時に必ず確認してください。前納には割引がある場合もあります。

2022年から「やめたい」と言えるようになった

以前の任意継続は、いったん入ると2年間は自分の意思ではやめられませんでした。そのため「1年目は任意継続、2年目は国保」という切り替えができず、納付をわざと止めて資格を失わせる、という本末転倒なことをする人までいました。

2022年1月の法改正で、この点が変わりました。本人が「任意継続被保険者でなくなることを希望する」と申し出れば、資格を喪失できます。申出が受理された月の末日で資格を失うのが原則の取り扱いです。

ポイント
この改正の意味は大きいです。1年目は任意継続、前年所得が下がった2年目は国民健康保険、という切り替えが正々堂々とできるようになりました。退職1年目の国保が高くなるのは前年所得のせいなので、2年目に切り替えると安くなるケースは珍しくありません。2年目に入る前に、もう一度両方の金額を出して比べてみてください。

2年経ったあとはどうなるか

任意継続は最長2年です。2年が過ぎたら、就職して勤務先の健康保険に入るか、国民健康保険に加入するか、家族の扶養に入るかを、あらためて選ぶことになります。

2年経過による資格喪失は自動なので、期限が近づいたら国保の窓口に相談しておくと切れ目がありません。喪失日がわかる書類は国保の手続きで必要になるので、捨てずに保管してください。

手続きの全体像を時系列で整理する

最後に、退職前から退職後までの流れを1本の線にまとめます。やることが多く見えますが、順番に沿えば迷いません。

01
退職日が決まったら|加入先に任意継続の金額を聞く
協会けんぽの支部か健保組合に問い合わせます。扶養家族の人数も伝えます。
02
退職の1〜2週間前|市区町村に国保の概算を聞く
前年の所得がわかる資料を用意し、非自発的失業の軽減が使えるかも確認します。
03
退職の1〜2週間前|家族の扶養に入れるか確認する
家族の勤務先を通じて条件と必要書類を聞いてもらいます。
04
退職日|保険証を会社に返却する
扶養家族の分もまとめて返します。
05
退職日の翌日から20日以内|任意継続を選ぶなら申請する
郵送は到着日が期限です。余裕を持って出します。
06
資格喪失日から14日以内|国保を選ぶなら届け出る
資格喪失証明書などを持って市区町村の窓口へ。
07
ハローワークの手続き後|国保の軽減を届け出る
離職理由コードが対象なら、忘れずに申請します。
08
1年後|2年目の保険料をもう一度比べる
前年所得が下がっていれば、国保のほうが安くなることがあります。
注意
会社から健康保険資格喪失証明書が届かないと、国保の手続きが進まないことがあります。退職時に「いつ発行してもらえるか」を人事に確認しておいてください。どうしても間に合わない場合、退職日がわかる書類(離職票や退職証明書)で受け付けてくれる自治体もあります。まずは窓口に事情を伝えて相談してみてください。

退職の手続きは、健康保険だけではありません。年金、住民税、失業保険と、期限の違うものが同時に押し寄せます。1人で全部を抱えると、どれか1つは必ず抜け落ちます。会社と話しづらい状況なら、退職代行や退職給付金のサポートを使って手続きの部分だけ外部に任せるという選択肢もあります。

まとめ|期限の短い任意継続から逆算して決める

退職後の健康保険は、任意継続・国民健康保険・家族の扶養の3択です。どれが得かは、扶養家族の有無、前年の所得、離職理由で入れ替わります。一般論で決めず、必ず自分の数字を出してください。

健康保険の資格は退職日の翌日に失う

任意継続は被保険者期間2ヶ月以上20日以内の申請が条件

任意継続の保険料は全額自己負担だが、標準報酬月額に上限がある(協会けんぽの令和8年度は32万円)

国保の保険料は前年の所得で決まるため、退職1年目は高くなりやすい

会社都合など非自発的な離職なら、国保の給与所得が30%とみなされる軽減がある

軽減は自分で届け出ないと適用されない

2022年1月から任意継続は本人の申出でやめられるようになった

扶養に入れるなら追加の保険料はかからないが、失業保険の日額で外れることがある

もし今、退職を切り出すこと自体で消耗しているなら、保険の比較まで手が回らないのは当然です。その場合は、まず市区町村に電話して軽減が使えるかだけ聞く。それだけでも判断の8割は決まります。

そして、一人で抱え込まないでください。協会けんぽの支部も、市区町村の国保窓口も、ハローワークも、相談されることを前提に窓口を開いています。「こんなことを聞いていいのかな」と思う内容ほど、聞いた人が得をします。

※本記事は2026年8月時点で公開されている情報をもとに整理しています。保険料の計算方法や軽減制度の運用は、お住まいの市区町村や加入している健康保険によって異なります。最終的な金額と手続きは、必ず協会けんぽ・健康保険組合・お住まいの市区町村の窓口でご確認ください。

海田
この記事を書いた人
海田 次郎
人事5年・労務5年の実務を経て、退職支援会社で退職相談の面談を1,000件以上担当。会社側と辞める側の両方を見てきた経験から、制度は一次情報で確認し、サービスの弱点も含めて正直に書くことを方針にしています。

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