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定年で会社を辞めると、それまで入っていた会社の健康保険の資格は、退職日の翌日になくなります。日本に住んでいる人は、何らかの医療保険に入ることが決まっているので、次にどの健康保険に入るかを自分で選んで手続きしなければなりません。
選べるのは主に、会社の健康保険を続ける「任意継続」、市区町村の「国民健康保険」、家族の健康保険の「被扶養者」の3つ。勤めていた会社の健保組合によっては、「特例退職被保険者」という4つ目の選択肢もあります。この記事では、それぞれの期限・保険料・向いている人を、協会けんぽや健康保険組合の案内に沿って比べます。
・保険料がかからないのは家族の被扶養者だけ。60歳以上は年間収入180万円未満などの条件がある
・任意継続は最長2年。保険料は全額自己負担だが、協会けんぽの計算のもとになる月額には上限(2026年度は32万円)がある
・国民健康保険は前年の所得で保険料が決まる。市区町村で試算してもらい、任意継続と比べてから選ぶ
・75歳になると、どの保険に入っていても後期高齢者医療制度に移る
目次
定年退職後の健康保険|4つの選択肢を比較
| 任意継続 | 国民健康保険 | 家族の被扶養者 | 特例退職被保険者 | |
|---|---|---|---|---|
| 入れる人 | 退職日まで2か月以上続けて加入していた人 | 他の保険に入らない人 | 家族が会社の健康保険に入っていて、収入などの条件を満たす人 | 一部の健保組合の加入期間が長い人で、老齢厚生年金を受け取れる人 |
| 手続きの期限 | 退職日の翌日から20日以内 | 退職日の翌日から14日以内 | 家族の勤務先に早めに | 年金証書を受け取った日の翌日から3か月以内(出版健保の例) |
| 入れる期間 | 最長2年(75歳未満まで) | 75歳未満まで | 条件を満たす間(75歳未満まで) | 75歳未満まで |
| 保険料 | 退職時の標準報酬月額×保険料率(全額自己負担。上限あり) | 前年の所得などで市区町村が計算 | かからない | 健保組合が決めた額(組合ごとに違う) |
| 窓口 | 協会けんぽ・勤めていた会社の健保組合 | 住んでいる市区町村 | 家族の勤務先 | 勤めていた会社の健保組合 |
「どれが一番安いか」は人によって違います。まずは家族の扶養に入れるかを確認し、入れない場合は、任意継続と国民健康保険の保険料を比べて選ぶのが基本の順番です。
① 任意継続|退職前の健康保険を最長2年続ける
任意継続は、在職中に入っていた健康保険に、退職後も個人で入り続ける仕組みです。病院での自己負担や受けられる給付は、ほぼ在職中と同じです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 条件 | 退職日まで継続して2か月以上、被保険者だったこと |
| 期限 | 退職日の翌日から20日以内に申し込む |
| 期間 | 最長2年(75歳になると後期高齢者医療制度へ) |
| 保険料 | 在職中は会社と半分ずつだった保険料を、全額自分で払う |
| 協会けんぽの上限 | 計算のもとになる標準報酬月額は「退職時の額」と「協会けんぽ全体の平均をもとにした額」の少ない方。2026年度の上限は32万円 |
| やめるとき | 本人が申し出れば、2年たつ前でも脱退できる |
在職中の給料が高かった人ほど、上限があるぶん任意継続が有利になりやすいです。一方で、退職前の給料がそれほど高くなかった人や、前年の所得が少ない人は、国民健康保険の方が安くなることもあります。健保組合の場合は上限額や保険料率が組合ごとに違うので、勤めていた会社の健保組合に確認してください。
出典:協会けんぽ「令和8年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限について」(2025年12月10日掲載)
② 国民健康保険|市区町村で14日以内に手続き
任意継続も扶養も選ばない場合は、住んでいる市区町村の国民健康保険に入ります。手続きは退職日の翌日から14日以内で、勤めていた会社の健康保険の「資格喪失証明書」などが必要です(必要なものは市区町村で確認してください)。
- 保険料は、前年の所得と世帯の人数などをもとに、市区町村ごとの計算方法で決まる
- 定年退職した年の翌年度は、収入が年金だけになるなどして保険料が下がることが多い
- 収入が大きく減った人や、離職理由によっては、減免や軽減を受けられる場合がある
保険料は市区町村の窓口で試算してもらえます。任意継続の保険料と並べて比べてから決めましょう。
③ 家族の被扶養者|保険料がかからない
配偶者や子どもが会社の健康保険に入っている場合は、その被扶養者になれることがあります。被扶養者は保険料がかかりません。
| 条件の目安 | 内容 |
|---|---|
| 年間収入 | 130万円未満。60歳以上の人は180万円未満 |
| 同居している場合 | 年間収入が、家族(被保険者)の年間収入の2分の1未満 |
| 別居している場合 | 年間収入が、家族からの仕送りの額より少ない |
ここでいう「年間収入」は、これから先1年間の見込みの収入で、公的年金や失業保険(基本手当)も含めて考えるのが一般的です。たとえば失業保険を受け取っている間は、日額によっては扶養に入れないことがあります。最終的な判断は家族の勤務先の健康保険が行うので、必要な書類とあわせて早めに確認してください。
出典:協会けんぽ「被扶養者の認定における特例について」、出版健康保険組合「退職後の医療保険について」(2026年3月)
④ 特例退職被保険者|一部の健保組合だけの制度
一部の健康保険組合には、定年退職などで老齢厚生年金を受け取る人が、75歳になるまで組合の健康保険に入り続けられる「特例退職被保険者制度」があります。すべての会社にある制度ではありません。
出版健康保険組合の例では、次の条件をすべて満たす人が対象です。
- ✅ 在職中の組合の加入期間が20年以上、または40歳以降に10年以上ある
- ✅ 老齢厚生年金の請求をして、受け取る権利がある
- ✅ 75歳未満である
- ✅ 日本国内に住んでいる
保険料は組合が決めた額で(出版健保の2026年度は一般保険料が月23,112円)、申請の期限は年金証書を受け取った日の翌日から3か月以内です。年金を受け取れる年齢になるまでは、任意継続や国民健康保険に入ってつなぐ形になります。制度があるかどうかは、勤めていた会社の健保組合に確認してください。
出典:出版健康保険組合「特例退職被保険者制度について」(2025年3月)、「退職後の医療保険について」(2026年3月)
退職すると、会社の団体保険が終わったり、収入が給料から退職金・年金・失業保険に変わったりします。現役のころの保障や保険料のままでよいか、辞める前に一度確認しておくと安心です。
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- 相談したからといって、保険に入る必要はありません。合わないと思ったら断って大丈夫です
あなたはどれ?|タイプ別の選び方
| こんな人 | 選びやすい保険 |
|---|---|
| 配偶者や子が会社員で、自分の年間収入が180万円未満になりそう | 家族の被扶養者 |
| 在職中の給料が高く、前年の所得も多い | 任意継続(上限があるため割安になりやすい) |
| 前年の所得が少ない、退職後は年金だけになる | 国民健康保険(試算して任意継続と比較) |
| 勤めていた会社の健保組合に特例退職の制度がある | 特例退職被保険者 |
| 定年後も再雇用などで働き続ける | 勤務先の健康保険(労働時間などの条件を満たす場合) |
70歳・75歳になったら変わること
70歳から74歳までは、どの健康保険に入っていても「高齢受給者証」が交付され、病院での自己負担は原則2割(現役並みの所得がある人は3割)になります。
75歳になると、それまでの健康保険を抜けて、全員が「後期高齢者医療制度」に移ります(一定の障害がある人は65歳から加入できます)。手続きは原則として不要で、保険証などは住んでいる市区町村から届きます。家族の被扶養者だった人も、75歳からは自分で後期高齢者医療制度に入ることになります。
よくある質問
まとめ|まず「扶養に入れるか」、次に保険料の比較
- ✅ 国民健康保険は14日以内、任意継続は20日以内(退職日の翌日から)
- ✅ 家族の被扶養者になれれば保険料はかからない(60歳以上は年間収入180万円未満が目安)
- ✅ 任意継続と国民健康保険は、保険料を試算して比べてから選ぶ
- ✅ 勤めていた会社の健保組合に特例退職の制度があるか確認する
- ✅ 70歳から高齢受給者証、75歳から後期高齢者医療制度に移る




