「退職代行を使って後悔した」「トラブルになった」という話を見て、申し込む手が止まっていませんか。
先に言っておくと、退職代行のトラブルの大半は「業者の運営元の選び間違い」か「本人がやるべき最低限のことをしなかった」のどちらかで起きています。退職代行そのものが危ないのではなく、起きるパターンが決まっているので、事前に知っていれば避けられます。
私は人事・労務として10年、退職代行から連絡を受ける側にいました。そのあと退職支援の会社で1,000件以上の退職相談を受け、「うまくいった人」と「もめた人」の違いを見てきました。この記事では実際に起きるトラブルを事例別に、原因と回避策つきで整理します。
💡 この記事でわかること
・退職代行で実際に起きるトラブル8つ(会社側・業者側・本人側)
・人事側から見た「会社がもめるケース」の正体
・後悔した人に共通する3つのこと
・トラブルを避ける業者選びのチェックリスト
・それでも起きてしまったときの対処
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自分で伝えるのが難しいときは、退職の連絡を退職代行に任せる方法もあります。今お金がなくても、後払いや給料日払いで頼めるところがあります。
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目次
- 退職代行で実際に起きるトラブル8つ|原因と回避策
- 人事側から見た「会社がもめるケース」の正体
- 退職代行で後悔した人に共通する3つのこと
- トラブルを避ける業者選びチェックリスト
- それでもトラブルになったときの対処
- 退職代行のトラブルに関するよくある質問
- まとめ|トラブルは「運営元の選び方」と「本人がやる3つのこと」でほぼ防げる
退職代行で実際に起きるトラブル8つ|原因と回避策
① 会社が「本人と直接話す」と言って受け付けない
民間業者からの連絡に対して、会社が「代理人とは話さない。本人から連絡させろ」と押し返すケース。民間業者は交渉権限がないため、ここで止まります。
💡 回避策
労働組合か弁護士法人に依頼する。労働組合からの団体交渉の申入れを会社は正当な理由なく拒めません。すでに民間に頼んで止まっているなら、退職届を内容証明で出せば、会社の受け付けに関係なく2週間で退職は成立します(民法627条)。
② 会社から本人に電話・訪問が来る
業者が「本人への連絡は控えてください」と伝えても、上司や同僚から電話・LINE・自宅訪問が来ることがあります。出る義務はありませんが、精神的にはきつい。
💡 回避策
業者に「本人へ連絡があった」と伝えて再度会社に釘を刺してもらう。弁護士法人なら「代理人がついている相手への直接接触」自体を問題にできる。自宅訪問が続くなら警察への相談も選択肢。
③ 有給が消化できなかった・退職日が希望と違った
「有給を全部使って辞めたい」と伝えたのに、会社が「業務の引き継ぎがあるので認めない」と返し、民間業者は交渉できず、結局欠勤扱いや希望より早い退職日になるケース。
💡 回避策
最初から労働組合か弁護士法人に。有給の取得は労働者の権利で、退職時は会社の時季変更権も使えないため、交渉できる運営元なら通ります。
④ 業者と連絡が取れない・対応が遅い
申し込み後にLINEの返信が半日以上来ない、会社への連絡日時がずれた、というケース。安さだけで選んだ小規模業者や、深夜・休日は受付だけの業者で起きやすい。
💡 回避策
「24時間受付」と「24時間対応」を区別する。申込前の無料相談で返信速度を確認し、返信が遅い業者はその時点でやめる。運営元・所在地・電話番号が公式サイトに明記されている業者を選ぶ。
⑤ 追加料金を請求された
「基本料金のほかに組合費」「会社との連絡が長引いたので追加」「離職票の催促は別料金」など。
💡 回避策
総額(組合費・後払い手数料込み)を申込前に文字で確認する。「追加料金なし」と明記している業者を選ぶ。労組系は組合費が別建てのことがあるので合算で比較。
⑥ 離職票・源泉徴収票が届かない
退職後、会社が書類の発送を後回しにする(嫌がらせで遅らせる会社もある)。離職票が届かないと失業保険の手続きが始められません。
💡 回避策
業者に「離職票の発送」まで依頼内容に含めてもらう。退職後10日を過ぎても届かなければ、ハローワークに「離職票が届かない」と相談すれば会社に催促してもらえる。源泉徴収票は税務署に「不交付の届出」ができる。
⑦ 「損害賠償を請求する」「懲戒解雇にする」と脅された
人手不足の職場や、引き継ぎがない状態で辞めると、会社が感情的にこう言ってくることがあります。
💡 回避策
労働基準法16条は違約金・賠償額の予定を禁じており、実際に賠償が認められるのはごく限定的。脅しが書面で来たら弁護士法人に切り替える。懲戒解雇にするには就業規則の根拠と手続きが必要で、「辞め方が気に入らない」では成立しない。
⑧ 業者が非弁行為で問題になり、手続きが止まった
民間業者が交渉や弁護士紹介に踏み込んで、法律上の問題になるケース。2025年10月には大手業者の運営会社が弁護士法違反の疑いで家宅捜索を受けました。利用者が罰せられることはありませんが、依頼中の手続きが混乱するおそれはあります。
💡 回避策
民間業者に頼むなら「伝達のみ」の範囲で使い、交渉が必要なら最初から労働組合か弁護士へ。
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人事側から見た「会社がもめるケース」の正体
人事として退職代行の連絡を受けたとき、会社がすんなり受け入れるか、もめるかは、実は本人の辞め方より「連絡の中身」で決まっていました。
| 会社がすんなり受け入れた連絡 |
会社がもめた連絡 |
| 退職日・有給消化の希望・貸与品の返却方法・書類の送付先が最初の連絡で全部そろっている |
「本日から出社しません」だけで、退職日も返却方法も分からない |
| 労働組合または弁護士からの連絡(会社側も「対応するしかない」と判断) |
運営元がはっきりしない民間業者で、人事が「これは誰と話しているのか」と不信感を持つ |
| 引き継ぎメモ(数行でも)が本人から郵送・メールで届いている |
業務の引き継ぎが一切なく、現場が混乱して感情的になる |
| 貸与品が翌日〜数日で返送されてくる |
PC・鍵・社員証が返ってこず、会社が「返還請求」を口実に連絡してくる |
⚠ 本人がやること3つ
退職代行に頼むのは「伝える」部分です。貸与品の返却・数行の引き継ぎメモ・書類の送付先の指定は本人にしかできません。ここをやった人はまずもめません。
退職代行で後悔した人に共通する3つのこと
| 後悔のパターン |
中身 |
防ぎ方 |
| 「もっと早く使えばよかった」 |
体を壊してから使った。有給も残っていなかった |
「辞めたい」と思った時点で無料相談だけしておく。使うかどうかは後で決めればいい |
| 「安さで選んで失敗した」 |
民間の最安業者で有給が取れず、結局自分で会社と話した |
有給・退職日の希望があるなら労働組合か弁護士。差額は数千円 |
| 「退職後の手続きを何も知らなかった」 |
離職票・国保・年金・失業保険の順番が分からず、給付が遅れた |
退職代行の申込みと同時に、退職後の手続きと給付金を調べておく |
トラブルを避ける業者選びチェックリスト
- ✅ 運営元(会社名・組合名・弁護士法人名)と所在地・電話番号が公式サイトに明記されている
- ✅ 有給・退職日の希望があるなら労働組合か弁護士法人
- ✅ 総額(組合費・後払い手数料込み)が文字で分かる。追加料金の条件が書いてある
- ✅ 無料相談の返信が早い(目安:営業時間内なら1時間以内)
- ✅ 返金保証の条件が書いてある(「退職できなかった場合」の定義)
- ✅ 離職票・書類の受け取りまで対応範囲に含まれている
- ✅ 「弁護士を紹介します」という民間業者は紹介料の有無を確認(不明なら避ける)
それでもトラブルになったときの対処
1
業者に状況を正確に伝え、対応を求める
いつ・誰から・何を言われたかを記録して共有。返金保証の対象になるかも確認。
2
退職の成立自体は自分で確保する
退職届を内容証明で会社に送る。業者が止まっていても、2週間で退職は成立する。
3
交渉・請求・脅しの対応が必要なら弁護士法人へ切り替える
損害賠償の書面、未払い賃金、懲戒解雇の通告など「法律の争い」に入ったら民間・労組では対応できない。
4
業者自体とのトラブル(返金されない・連絡が取れない)
消費生活センター(188)に相談。決済がカードならカード会社に相談。
退職代行のトラブルに関するよくある質問
Q. 退職代行を使うとトラブルになりやすいですか?
A. なりやすいわけではありません。もめるケースは運営元の選び間違い(民間で交渉が必要になった)と、本人が貸与品返却・引き継ぎメモ・書類送付先の指定をしなかった場合に集中しています。
Q. 退職代行を使ったことを後悔する人は多いですか?
A. 相談を受けた範囲では、後悔は「もっと早く使えばよかった」が圧倒的に多く、使ったこと自体を後悔する人は少数です。使って後悔した人は、安さで民間を選んで有給が取れなかったケースがほとんどです。
Q. 会社が退職を認めないと言っています。退職できませんか?
A. できます。退職に会社の承諾は不要で、意思表示から2週間で成立します(民法627条)。会社が認めないと言っている間も、退職届を内容証明で送っておけば確実です。
Q. 退職代行を使ったら懲戒解雇にされますか?
A. 退職代行の利用は懲戒事由になりません。無断欠勤や備品の未返却が重なると口実にされることがあるので、欠勤・有給の連絡と返却だけは必ず行ってください。
Q. 業者が音信不通になりました。お金は戻りますか?
A. まず返金保証の条件を確認し、業者に書面で請求します。応じない場合は消費生活センターやカード会社に相談してください。退職手続き自体は、退職届の郵送で自分で進められます。
会社に行かずに辞めたい方へ|今お金がなくても使える「後払いOK」の退職代行
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まとめ|トラブルは「運営元の選び方」と「本人がやる3つのこと」でほぼ防げる
- ✅ 会社がもめる原因は、民間業者に交渉が必要な依頼をしたとき
- ✅ 有給・退職日の希望があるなら労働組合か弁護士法人
- ✅ 本人がやるのは貸与品の返却・数行の引き継ぎメモ・書類送付先の指定
- ✅ 脅しは労基法16条で対抗できる。書面が来たら弁護士へ
- ✅ 業者が止まっても、退職届の内容証明で退職は成立する
人事側にいた経験から言うと、退職代行でこじれた案件は「本人が悪かった」ことより「連絡の中身が足りなかった」ことがほとんどでした。運営元を選び、3つのことをやれば、退職代行は静かに終わります。
海田
この記事を書いた人
海田 次郎
人事5年・労務5年の実務を経て、退職支援会社で退職相談の面談を1,000件以上担当。会社側と辞める側の両方を見てきた経験から、制度は一次情報で確認し、サービスの弱点も含めて正直に書くことを方針にしています。