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退職の手続き

失業保険をもらった年の確定申告は必要?非課税の根拠・還付される人・書き方を元人事が解説

失業保険をもらった年の確定申告|非課税・必要な人・書き方

「失業保険をもらった年は確定申告が必要?」「申告書のどこに書けばいい?」——退職した翌年の2〜3月に、この疑問で手が止まる方は本当に多いです。

先に答えます。失業保険(基本手当)は非課税なので、確定申告書には一切書きません。そして、退職した年に再就職せず年末調整を受けていない人は、確定申告をすると税金が戻ってくる可能性が高いです。「必要か」ではなく「やったほうが得」という話です。

人事・労務として給与計算と年末調整を10年扱い、退職支援の会社で1,000件以上の相談を受けてきた立場から、失業保険と税金の関係・確定申告が必要な人/不要な人・還付の仕組み・書き方・必要書類を、退職した人の目線で整理します。

💡 この記事でわかること
・失業保険が非課税である根拠と、申告書に書かない理由
・確定申告が「必要な人」「やると得な人」「不要な人」の分け方
・年の途中で退職すると税金が戻ってくる仕組み
・書き方:源泉徴収票のどこを見て、どこに書くか
・退職後に払った国民年金・国保・iDeCoは控除できる
・退職金・住民税・再就職した場合の扱い
・申告の期限と、忘れていた場合(5年間さかのぼれる)

結論|失業保険は非課税。確定申告書には書かない

雇用保険の基本手当(いわゆる失業保険)は、雇用保険法で「租税その他の公課は、失業等給付として支給を受けた金銭を標準として課することができない」と定められています。つまり所得税も住民税もかからず、確定申告書の収入欄にも記載しません

退職後に受け取るお金 課税 確定申告での扱い
失業保険(基本手当) 非課税 書かない
再就職手当・就業促進定着手当 非課税(雇用保険の給付) 書かない
教育訓練給付金 非課税 書かない
傷病手当金(健康保険) 非課税 書かない
退職前の給与・賞与 課税(給与所得) 源泉徴収票をもとに書く
退職金 課税(退職所得・分離課税) 「退職所得の受給に関する申告書」を会社に出していれば原則申告不要
退職後のアルバイト収入 課税(給与所得) 源泉徴収票をもとに書く
⚠ 2つの誤解
「失業保険をもらったから確定申告しなきゃ」は誤解ですが、「失業保険をもらったから確定申告しなくていい」も誤解です。申告が必要か・得かは、失業保険ではなく「退職前の給与」で決まります。次の章で分けます。

確定申告が「必要な人」「やると得な人」「不要な人」

あなたの状況 確定申告 理由
退職した年のうちに再就職し、新しい会社で年末調整を受けた 不要(原則) 前職の源泉徴収票を新しい会社に出せば、年末調整で精算される
退職した年に再就職せず、年末調整を受けていない やると得(還付申告) 毎月の給与から引かれた所得税は「1年働く前提」の概算。途中で辞めると払い過ぎになっていることが多い
退職後に国民年金・国民健康保険・iDeCo・生命保険料を自分で払った やると得 社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除・生命保険料控除で税金が戻る
退職金を受け取り、「退職所得の受給に関する申告書」を会社に出していない 必要(精算) 一律20.42%で源泉徴収されており、申告すると戻ることが多い
退職後にフリーランス・副業で所得があった(20万円超) 必要 事業所得・雑所得の申告
退職した年の給与が年末調整済みで、他に何もない 不要 医療費控除・ふるさと納税などがあればやると得
💡 元人事の実感
人事側で源泉徴収票を何千枚も出してきた経験で言うと、年の途中で辞めて年末まで再就職しなかった人は、ほぼ全員が還付対象です。金額は数千円〜数万円、退職前の給与が高かった人や退職後に国民年金・国保をまとめて払った人は10万円を超えることもあります。

なぜ税金が戻るのか|年の途中で辞めた人の所得税は「払い過ぎ」

毎月の給与から引かれる所得税(源泉徴収税額)は、「その給与が12か月続く」前提で計算された概算です。本来の税額は1年分の所得が確定してから決まり、通常は12月の年末調整で差額を精算します。

1
例:月給30万円で6月末に退職、その後は失業保険で生活
1〜6月の給与から引かれた所得税は「年収360万円」前提の額。
2
実際の年収は180万円
本来の税額はずっと少ない。しかも基礎控除・社会保険料控除は1年分まるごと使える。
3
年末調整を受けていないので差額が戻っていない
確定申告(還付申告)をして初めて、払い過ぎた分が指定口座に振り込まれる。

失業保険は非課税なので、この計算にはまったく影響しません。「失業保険をもらったせいで税金が増える」ことはありません。

書き方|源泉徴収票のどこを見て、申告書のどこに書くか

確定申告は国税庁の「確定申告書等作成コーナー」(スマホ可)で作るのが一番簡単です。手元に用意するのは次の書類です。

必要書類

  • 退職した会社の源泉徴収票(退職後1か月以内に会社が交付する義務あり。届いていなければ会社に請求)
  • ✅ 退職後にアルバイトをした場合はその源泉徴収票
  • 国民年金保険料控除証明書(日本年金機構から11月ごろ郵送)
  • 国民健康保険料の納付額がわかるもの(納付書の控え・市区町村からの通知)
  • ✅ 生命保険料・地震保険料・iDeCoの控除証明書
  • ✅ 医療費控除を使うなら医療費の明細、ふるさと納税の寄附金受領証明書
  • マイナンバーカード(e-Taxで送信)または通知カード+本人確認書類
  • 還付金の振込先口座

源泉徴収票→申告書の対応

源泉徴収票の欄 申告書に入力する場所 ポイント
支払金額 給与の「収入金額」 退職前の給与・賞与の合計。失業保険は含めない
源泉徴収税額 「源泉徴収税額」 ここが「払い過ぎた税金」の元。作成コーナーは自動で差額を計算する
社会保険料等の金額 社会保険料控除(給与分) 在職中に天引きされた分。退職後に自分で払った国民年金・国保は別途足す
摘要欄の「年調未済」 年末調整を受けていない印。この記載がある人が還付対象
⚠ 「書き方」で一番多い迷い
「失業保険の受給額を書く欄がない」と探し続ける方がいますが、書く欄はありません。雇用保険受給資格者証も添付不要です。作成コーナーの「収入」には給与(と退職金・副業があればそれ)だけを入力してください。

退職後に自分で払った国民年金・国保・iDeCoは全額控除できる

退職後に扶養に入らず自分で払った保険料は、すべて社会保険料控除(iDeCoは小規模企業共済等掛金控除)の対象です。ここを入れ忘れると還付額が大きく減ります。

払ったもの 控除 証明書
国民年金保険料(2026年度は月額17,920円) 社会保険料控除・全額 日本年金機構の控除証明書。家族の分を払った場合も本人の控除にできる
国民健康保険料 社会保険料控除・全額 証明書の添付は不要だが、納付額を正確に入力(市区町村の通知で確認)
任意継続の健康保険料 社会保険料控除・全額 健保組合・協会けんぽからの納付額通知
iDeCo(個人型確定拠出年金) 小規模企業共済等掛金控除・全額 国民年金基金連合会の控除証明書
国民年金を「免除」にした期間 控除なし(払っていないため) 免除分は将来の年金額が減る。10年以内の追納は追納した年に控除

退職金・住民税・再就職した場合の扱い

退職金

退職時に会社へ「退職所得の受給に関する申告書」を出していれば、退職所得控除を反映した税額で源泉徴収されており、原則として確定申告は不要です。出していない場合は退職金の額に対して一律20.42%が源泉徴収されているので、確定申告をすると戻ることがほとんどです。退職金の源泉徴収票が別に届いているはずなので確認してください。

住民税

住民税は前年の所得に対して翌年6月から課税されます。失業保険は非課税なので住民税の計算にも入りません。確定申告をすれば市区町村への住民税申告は不要です(申告内容が自動で送られる)。退職後の住民税の払い方は下の記事を参照してください。

年内に再就職した場合

新しい会社に前職の源泉徴収票を提出すれば、年末調整で前職分も合算して精算されるので確定申告は不要です。年末調整の書類に失業保険の受給額を書く欄はなく、申告も不要です。ただし退職後に自分で払った国民年金・国保は、新しい会社の年末調整で「社会保険料控除」として申告してください(書き忘れたら確定申告で取り戻せます)。

年末調整と確定申告の違い|退職した人はどちらを使う?

年末調整 確定申告
誰がやる 会社 本人
対象 12月時点で在籍している人 年末調整を受けていない人・追加の控除がある人
退職した年に再就職した 新しい会社で(前職の源泉徴収票を提出) 不要(医療費控除・ふるさと納税などがあれば)
退職した年に再就職していない 受けられない 還付申告をする
退職後に払った国民年金・国保 再就職先の年末調整で申告できる 確定申告で社会保険料控除に入れる

還付金はいつ・いくら戻る?

還付額は「源泉徴収票の源泉徴収税額」が上限の目安です。ここに書かれた額のうち、本来の税額を超えた分が戻ります。退職後に国民年金・国保を払っていれば、控除が増える分だけ戻る額も増えます。作成コーナーに入力すると還付額が自動で表示されるので、自分で計算する必要はありません。

振込までの期間は、e-Taxで送信した場合はおおむね3週間前後、書面提出は1か月〜1か月半程度が目安とされています。1月に出せば2月には振り込まれることが多く、退職後の生活費のつなぎになります。

申告の期限と、忘れていた場合

種類 期限 補足
還付申告(税金が戻る人) 翌年1月1日から5年間 2〜3月の申告期間を待つ必要はない。1月から出せて、早く出すほど早く戻る
納税が必要な申告(副業・退職金の追加納税など) 翌年2月16日〜3月15日 遅れると無申告加算税・延滞税の対象
過去の還付を忘れていた 5年以内なら申告できる 例:2024年に退職して申告していない → 2029年12月31日まで
💡 忘れていた人へ
退職した年の申告を忘れていた人は、今からでも取り戻せます。退職した会社に源泉徴収票の再発行を頼めば、5年以内の分は還付申告できます。人事側は再発行を断れません。

失業保険と確定申告に関するよくある質問

Q. 失業保険をもらった年は確定申告が必要ですか?
A. 失業保険自体は非課税なので、失業保険を理由に申告が必要になることはありません。退職前の給与で年末調整を受けていない人は、申告すると税金が戻る可能性が高いので「やったほうが得」です。
Q. 確定申告書のどこに失業保険の金額を書きますか?
A. 書く欄はありません。収入には退職前の給与(源泉徴収票の支払金額)だけを入力します。
Q. 失業保険をもらうと、翌年の住民税や国保が高くなりますか?
A. なりません。非課税なので住民税・国民健康保険料の計算の元になる所得に含まれません。
Q. 配偶者の扶養(配偶者控除)に影響しますか?
A. 税法上の配偶者控除・配偶者特別控除には影響しません(失業保険は所得ではないため)。健康保険の扶養は別の話で、日額3,612円以上を受給中は外れます。
Q. 再就職手当は課税されますか?
A. 雇用保険の給付なので非課税です。申告不要です。
Q. 退職した会社が源泉徴収票をくれません。どうすれば?
A. 会社には退職後1か月以内に交付する義務があります。請求しても出ない場合は、税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を出す方法があります。
Q. e-Taxとスマホでできますか?
A. できます。国税庁の確定申告書等作成コーナーはスマホ対応で、マイナンバーカードがあれば送信まで完結します。源泉徴収票はカメラで読み取ることもできます。

まとめ|失業保険は書かない。退職前の給与で「やると得」かが決まる

  • ✅ 失業保険・再就職手当・傷病手当金は非課税。申告書に書かない
  • ✅ 退職した年に年末調整を受けていない人は、還付申告で税金が戻ることがほとんど
  • ✅ 退職後に払った国民年金・国保・iDeCoは全額控除。入れ忘れが一番もったいない
  • ✅ 退職金は「受給に関する申告書」を出していれば原則不要。出していなければ申告で戻る
  • ✅ 還付申告は翌年1月1日から5年間。忘れていた人も今から間に合う
  • ✅ 住民税・配偶者控除への影響はなし

退職後のお金は「もらう」だけでなく「取り戻す」ものもあります。源泉徴収票が手元にあるなら、今週中に作成コーナーを開いてみてください。30分で終わる人がほとんどです。

※本記事は雇用保険法の公課禁止規定、国税庁タックスアンサー(中途退職で年末調整を受けていないとき・還付申告は翌年1月1日から5年間)をもとに2026年9月時点で作成しています。税額の計算や個別の申告内容については税務署・税理士にご確認ください。筆者は税理士ではありません。

海田
この記事を書いた人
海田 次郎
人事5年・労務5年の実務を経て、退職支援会社で退職相談の面談を1,000件以上担当。会社側と辞める側の両方を見てきた経験から、制度は一次情報で確認し、サービスの弱点も含めて正直に書くことを方針にしています。

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