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退職給付金

失業保険の受給条件は3つ|自己都合・アルバイト・入社1年未満でももらえる?被保険者期間の数え方と給付日数を元人事が解説

失業保険の受給条件は3つだけ(加入期間・失業の状態・求職申込み)

失業保険(雇用保険の基本手当)をもらう条件は、突き詰めると3つです。①雇用保険に一定期間入っていた ②「失業の状態」にある ③ハローワークで求職の申込みをした。この3つがそろえば、自己都合でも、アルバイトでも、試用期間中の退職でも受給できます。

ただし①の「一定期間」は辞め方で変わり(2年で12か月1年で6か月か)、②の「失業の状態」は窓口での一言で認められなくなることがあります。人事・労務として10年、離職票を何百枚も書き、退職支援の会社で1,000件以上の相談を受けてきた立場から、条件の中身・自分が満たしているかの判定・満たしたあとに何日もらえるかを、迷いやすいケースごとに整理します。

💡 この記事でわかること
・失業保険の受給条件3つ
・被保険者期間「2年で12か月」「1年で6か月」の数え方(前職と通算できる)
・「失業の状態」と認められない例
・ハローワークでの手続きの流れ(待期7日・給付制限)
・条件を満たしたら何日・いくらもらえるか(給付日数表)
・アルバイト/派遣/試用期間/65歳以上/うつ病 などケース別の早見表

失業保険の受給条件は3つ

条件 内容 つまずきやすいポイント
① 被保険者期間 離職の日以前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上(会社都合など特定受給資格者・特定理由離職者は1年間に6か月以上 入社1年未満の自己都合退職。前職との通算を忘れている
② 失業の状態 就職する意思と能力があり、求職活動をしているのに職業に就けない状態 「しばらく休む」「家事に専念」と申告すると対象外。病気で働けない場合は延長手続きが必要
③ 求職の申込み 住所地のハローワークで求職申込みをして受給資格の決定を受ける 離職票が届かず手続きが遅れる。受給期間は離職翌日から1年

この3つは雇用保険法とハローワークの案内で示されている要件です。「正社員でないと無理」「自己都合だともらえない」といった条件はありません。順番に見ていきます。

条件①|被保険者期間は「2年で12か月」か「1年で6か月」か

一番つまずきやすいのがここです。辞め方によって必要な期間が変わります

離職理由 必要な被保険者期間 該当する主な例
一般の離職者(自己都合など) 離職日以前2年間通算12か月以上 転職・キャリアチェンジ・人間関係などの自己都合退職、定年退職
特定受給資格者 離職日以前1年間通算6か月以上 倒産・解雇(懲戒解雇を除く)・退職勧奨・賃金未払い・長時間残業・ハラスメントなど会社都合
特定理由離職者 離職日以前1年間通算6か月以上 契約更新を希望したのに更新されなかった雇止め、病気・妊娠・家族の介護・通勤困難など正当な理由のある自己都合

「被保険者期間1か月」の数え方

カレンダーの月ではなく、離職日からさかのぼって1か月ごとに区切り、その区切りの中で次のどちらかを満たす月を「1か月」と数えます。

基準 内容
賃金支払基礎日数 その1か月に11日以上ある(出勤日+有給休暇の日数)
賃金支払基礎時間数 11日に満たなくても80時間以上ある(2020年8月以降の基準)
⚠ ぎりぎりの人は要注意
月末退職でない場合、最後の区切りが1か月に満たない「端数」になります。端数の期間は15日以上あり、かつ日数11日以上(または80時間以上)なら0.5か月と数えます。入社13か月目で辞めたつもりが、区切り方の関係で12か月に届かないことがあるので、ぎりぎりの人は退職日をずらす前にハローワークか会社の労務担当に確認してください。

前職と通算できる(1年以内の空白・前職で受給していないこと)

被保険者期間は会社をまたいで通算できます。今の会社が4か月でも、前の会社で8か月あれば合計12か月です。ただし次の2つの条件があります。

  • ✅ 前職の離職から今の会社の入社まで、雇用保険に入っていない期間が1年以内であること
  • ✅ 前職の離職後に失業保険の受給資格の決定を受けていないこと(一度受給資格が決まると、それ以前の期間は通算できない)

通算するときは前職の離職票も必要です。手元にない場合は前の会社に発行を依頼するか、ハローワークに相談してください。

自分は何か月ある? 判定の例

状況 判定 理由
入社8か月・自己都合で退職 × 一般の離職者は2年で12か月必要
入社8か月・会社都合(解雇・退職勧奨)で退職 特定受給資格者は1年で6か月でよい
入社8か月・自己都合。前職10か月(離職から半年後に入社、受給なし) 通算18か月。空白1年以内・受給歴なし
入社8か月・自己都合。前職で失業保険を受給済み × 受給で前職分はリセット。今の8か月だけで判定
週20時間・入社1年半のパート・自己都合 雇用保険に加入していれば雇用形態は関係ない
入社2か月の試用期間中に会社都合で解雇 ×(前職通算があれば○) 特定受給資格者でも6か月は必要

条件②|「失業の状態」と認められる人・認められない人

ハローワークの定義は「就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても職業に就くことができない状態」です。逆に言うと、次のような人は雇用保険に何年入っていても受給できません

認められない例 理由 どうすればよいか
病気やけがで、すぐに就職できない 就職できる「能力」がない状態 受給期間の延長を申請し、働ける状態になってから受給
妊娠・出産・育児で、すぐに就職できない 同上 受給期間の延長(最長3年)
定年退職などで、しばらく休養したい 就職の「意思」がない 休養を終えてから求職申込み(60歳以上の定年は最長1年の延長制度あり)
結婚などで家事に専念する 同上 働く意思があるなら、パートでも求職申込みは可能
昼間の学校に通う・学業に専念する いつでも就職できる状態ではない 卒業後に求職申込み
自営業を始めた・準備中、会社役員に就任 失業ではない 準備段階でも申告が必要。開業なら受給期間の特例あり
次の就職先が決まっている 失業ではない 入社までの短期間でも原則対象外
⚠ 窓口での一言で決まる
窓口で「少し休んでから考えます」「今は働く気になれなくて」と正直に言って受給できなかった相談者を何人も見てきました。うつ病や適応障害で辞めた人は、「働ける状態」かどうかが分かれ目です。働けないなら延長、働けるなら求職申込み、と自分の状態に合わせて選んでください。

条件③|ハローワークで求職の申込みをする(手続きの流れ)

条件①②を満たしていても、ハローワークに行かなければ1円も支給されません。流れは次のとおりです。

1
離職票を受け取る
退職後10日〜2週間ほどで会社から届く(離職票−1・−2)。届かなければ会社に催促、それでも届かなければハローワークへ
2
ハローワークで求職申込み・受給資格の決定
離職票・マイナンバーカード(または通知カード+本人確認書類)・写真2枚・本人名義の通帳など。ここから待期7日が始まる
3
雇用保険説明会に参加
受給資格者証と失業認定申告書を受け取る
4
(自己都合の場合)給付制限
2025年4月以降は原則1か月。5年間に3回以上の自己都合退職や重責解雇は3か月
5
4週ごとの認定日に失業認定申告書を提出
原則2回以上の求職活動実績が必要。認定後、通常5営業日ほどで振込

受給期間は離職日の翌日から1年です。手続きが遅れても受給期間は延びないので、所定給付日数が長い人ほど早く行く必要があります。

条件を満たしたら何日・いくらもらえる?

もらえる日数(所定給付日数)は離職理由・年齢・被保険者期間で決まります。

自己都合・定年など(一般の離職者)

被保険者期間 1年未満 1年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
全年齢 90日 120日 150日

会社都合など(特定受給資格者・雇止めの特定理由離職者)

年齢/被保険者期間 1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日
30歳以上35歳未満 90日 120日 180日 210日 240日
35歳以上45歳未満 90日 150日 180日 240日 270日
45歳以上60歳未満 90日 180日 240日 270日 330日
60歳以上65歳未満 90日 150日 180日 210日 240日

就職困難者(障害者手帳をお持ちの方など)

年齢/被保険者期間 1年未満 1年以上
45歳未満 150日 300日
45歳以上65歳未満 150日 360日
⚠ 特定理由離職者の日数
雇止めによる特定理由離職者が会社都合と同じ日数になるのは期限付きの暫定措置で、離職日によって扱いが変わります。病気・介護など「正当な理由のある自己都合」の特定理由離職者は、被保険者期間の要件が6か月に緩和されるだけで、日数は一般の離職者と同じです。自分の区分は受給資格者証の「離職理由」欄で確認してください。

1日あたりの金額(基本手当日額)

離職前6か月の賃金(賞与を除く)÷180で「賃金日額」を出し、50〜80%(60〜64歳は45〜80%)の給付率をかけます。賃金が低いほど率は高くなります。上限は年齢別に決まっていて、2026年8月1日改定の額は次のとおりです。

年齢 基本手当日額の上限 下限(全年齢共通)
29歳以下 7,450円 2,562円
30〜44歳 8,270円 2,562円
45〜59歳 9,110円 2,562円
60〜64歳 7,830円 2,562円

ケース別|私はもらえる? 早見表

ケース もらえる? ポイント
アルバイト・パート (加入していれば) 週20時間以上・31日以上の雇用見込みで雇用保険に加入。給与明細の「雇用保険料」欄で確認
派遣・契約社員の契約満了 更新を希望したのに更新されなかった場合は特定理由離職者。給付制限なし
試用期間中に退職・解雇 被保険者期間が足りるかが問題。前職と通算できれば可
65歳以上で退職 (別の給付) 基本手当ではなく高年齢求職者給付金。30日分か50日分を一括
自営業・フリーランス・個人事業主 × 雇用保険の被保険者ではない。会社員時代の離職分で受給中に開業準備を始めるなら申告が必要
公務員 × 雇用保険の適用除外(別に退職手当の制度がある)
懲戒解雇 受給できる。重責解雇と判定されると給付制限3か月・日数は一般扱い
妊娠・出産で退職 (延長後) 受給期間を最長3年延長し、働ける状態になってから受給。特定理由離職者
うつ病・適応障害で退職 (状態による) 働けるなら受給、働けないなら延長。就職困難者に該当すれば300日
会社の役員 ×(原則) 役員は被保険者ではない。兼務役員で労働者性が認められる場合は例外
退職後に前職の失業保険を受け取らず転職し、また退職 前職分と通算できる(空白1年以内)

条件を満たしたあとに「もらえなくなる」3つの落とし穴

落とし穴 何が起きるか 防ぎ方
受給中のアルバイトを申告しない 不正受給。支給停止+返還+最大2倍の納付(いわゆる3倍返し) 1日4時間以上の労働は「就労」、4時間未満は「内職」として失業認定申告書にすべて記入
求職活動実績が足りない その期間は不認定(支給されない) 認定日までに原則2回。求人応募・セミナー・職業相談など
受給期間1年を過ぎる 残っている日数があっても打ち切り 離職票が届いたらすぐ手続き。働けない事情があれば延長申請

会社側の実務としても、離職票の「離職理由」欄と「賃金支払基礎日数」欄は、そのままあなたの受給条件と日数を決める書類です。届いた離職票の内容が事実と違う場合は、ハローワークで異議を申し出ることができます。署名する前に必ず確認してください。

失業保険の受給条件に関するよくある質問

Q. 自己都合で辞めても失業保険はもらえますか?
A. もらえます。離職日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上あれば受給資格があります。待期7日のあとに給付制限(2025年4月以降は原則1か月)がつく点が会社都合との違いです。
Q. 入社1年未満で辞めた場合はどうなりますか?
A. 自己都合なら原則対象外ですが、前職の被保険者期間と通算できれば受給できます(空白1年以内・前職分を受給していないこと)。会社都合・雇止め・病気など特定受給資格者・特定理由離職者なら、離職前1年に6か月以上で受給できます。
Q. アルバイトやパートでも条件を満たせますか?
A. 週20時間以上・31日以上の雇用見込みで雇用保険に加入していれば、正社員と同じ条件で受給できます。加入していたかは給与明細の雇用保険料の控除で確認できます。なお加入要件は法改正で2028年10月から週10時間以上に広がる予定です。
Q. 失業保険は何ヶ月もらえますか?
A. 「月」ではなく所定給付日数で決まります。自己都合は90〜150日、会社都合は90〜330日で、年齢と被保険者期間によります。4週ごとの認定日に28日分ずつ支給されるので、90日なら約3か月強で受け取り終える計算です。
Q. 65歳以上でも条件は同じですか?
A. 65歳以上は基本手当ではなく高年齢求職者給付金の対象です。条件は離職前1年に被保険者期間6か月以上と失業の状態で、30日分または50日分が一括で支給されます。
Q. 病気で働けない場合は条件を満たしませんか?
A. 「いつでも就職できる能力」がない間は失業の状態と認められません。30日以上働けない場合は受給期間の延長を申請し、働ける状態になってから受給します。延長すれば本来の受給期間1年に最長3年を加えられます。
Q. 離職票の離職理由が実際と違います。どうすればいいですか?
A. ハローワークで求職申込みをするときに異議を申し出て、証拠(退職勧奨のメール、残業記録、診断書など)を提出します。最終的な離職理由の判定はハローワークが行います。

まとめ|条件は「加入期間」「失業の状態」「求職申込み」の3つ

  • ✅ 受給条件は①被保険者期間 ②失業の状態 ③ハローワークで求職申込みの3つ
  • ✅ 被保険者期間は自己都合なら2年で12か月、会社都合・雇止め・病気などなら1年で6か月
  • ✅ 1か月の数え方は賃金支払基礎日数11日以上または80時間以上。前職と通算できる(空白1年以内・受給歴なし)
  • ✅ 病気・妊娠・休養・家事専念・学業は「失業の状態」ではない。働けないなら受給期間の延長
  • ✅ 受給期間は離職翌日から1年。自己都合の給付制限は原則1か月
  • ✅ 雇用形態は関係ない。アルバイト・パート・派遣も加入していれば対象。65歳以上は高年齢求職者給付金

「自分は条件を満たしていない」と思い込んで手続きをしなかった人が、実は前職との通算で受給できたケースを何度も見てきました。判断に迷ったら、離職票を持ってハローワークの窓口で「受給資格があるか確認したい」と伝えれば、その場で判定してもらえます。

※本記事はハローワークインターネットサービス「基本手当について」(受給要件・失業の状態の定義・被保険者期間の数え方・受給できない例)、「基本手当の所定給付日数」、厚生労働省「令和8年8月1日からの基本手当日額等の適用について」をもとに2026年9月時点で作成しています。給付制限の期間・特定理由離職者の暫定措置・雇用保険の加入要件は法改正で変わるため、最終的な判定はハローワークが行います。

海田
この記事を書いた人
海田 次郎
人事5年・労務5年の実務を経て、退職支援会社で退職相談の面談を1,000件以上担当。会社側と辞める側の両方を見てきた経験から、制度は一次情報で確認し、サービスの弱点も含めて正直に書くことを方針にしています。

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