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会社から「諭旨解雇(ゆしかいこ)」「諭旨退職(ゆしたいしょく)」という言葉が出てきた。懲戒解雇とは何が違うのか、退職金はもらえるのか、失業保険や次の就職に影響するのか——不安なことばかりだと思います。
この記事では、諭旨解雇・諭旨退職の意味と懲戒解雇との違い、処分が有効になる条件、退職金・失業保険・再就職への影響を、厚生労働省の資料や裁判例、弁護士の解説をもとに整理します。処分に納得できない場合は、退職届を出す前に専門家に相談することを強くおすすめします。
・懲戒解雇の一歩手前の、重い処分。退職届を出しても懲戒処分であることは変わらない
・退職金や失業保険の扱いは、就業規則やハローワークの判断で決まり、必ず不利になるとは限らない
諭旨解雇・諭旨退職とは
諭旨解雇は、一定の期間内に退職届を出すよう勧告し、出せば退職扱い、出さなければ懲戒解雇とする処分です(BUSINESS LAWYERSの弁護士解説)。会社によっては、退職届を出して辞める形を「諭旨退職」と呼び分けています。「諭旨」は「趣旨をさとして告げる」という意味です。
図解:懲戒処分の重さ(一般的な7種類・軽い順)
種類や呼び方は会社の就業規則で決まります。厚生労働省のモデル就業規則の条文例は、けん責・減給・出勤停止・懲戒解雇の4区分です。
懲戒解雇との違い
| 諭旨解雇・諭旨退職 | 懲戒解雇 | |
|---|---|---|
| 辞め方 | 退職届を出して辞める(出さなければ懲戒解雇) | 会社が一方的に解雇する |
| 懲戒処分か | 懲戒処分(退職届を出しても処分の性質は残る) | 懲戒処分 |
| 退職金 | 就業規則の定めによる。全部・一部不支給もありうる | 就業規則に定めがあれば全部・一部不支給もありうる |
| 解雇予告 | — | 予告なしの即時解雇には、労働基準監督署長の認定が必要 |
処分が有効になる条件
- ✅ 就業規則に、懲戒の種類と理由があらかじめ書かれ、従業員に周知されている(フジ興産事件・最高裁平成15年10月10日)
- ✅ 処分の理由になった行為が、就業規則の懲戒事由に当たる
- ✅ 処分の重さが行為に見合っている(重すぎれば、労働契約法15条により権利の濫用として無効)
- ✅ 弁明の機会を与えるなど、手続きが適正である
処分が重すぎる、事実が違う、言い分を聞いてもらえなかったという場合は、処分の有効性を争える可能性があります。退職届を出したあとでも、懲戒処分であることを理由に争うことはできますが、出す前に相談したほうが選択肢は広がります。
退職金はもらえる?
諭旨解雇の場合の退職金は、会社の退職金規程で決まります。規程に定めがあれば、全部または一部が支払われないことがあります。ただし、裁判例では、退職金には賃金の後払いという性格もあるため、全額を支払わないことが認められるのは、長年の勤続の功労を打ち消すほど重大な背信行為があった場合に限られる、とされています。
たとえば小田急電鉄事件(東京高裁平成15年12月11日)では、懲戒解雇された社員について、退職金の全額不支給は過酷だとして、本来の額の3割の支払いが命じられました。
失業保険はもらえる?
諭旨解雇・諭旨退職でも、雇用保険の加入期間などの条件を満たせば、失業保険(基本手当)は受け取れます。ただし、離職理由によって給付制限が変わります。
| ハローワークの判断 | 給付制限 |
|---|---|
| 重責解雇(自分の責任による重大な理由での解雇) | 3か月 |
| 正当な理由のない自己都合退職 | 原則1か月(2025年4月以降の退職) |
| 上記にあたらない解雇など | なし |
離職理由は、会社と本人の両方の主張を聞き、資料で事実を確かめたうえで、最終的にハローワークが判断します(厚生労働省)。会社の言い分だけで決まるわけではありません。重責解雇の例としては、職場での窃盗・横領・傷害などの刑事事件にあたる行為が挙げられています。
再就職への影響
厚生労働省の履歴書様式例には、賞罰欄がありません。前の職場での懲戒処分を、自分から申告する法律上の義務もありません。ただし、面接で退職理由を聞かれてうそをついたり、賞罰欄のある履歴書で懲戒解雇の事実を隠したりすると、経歴詐称と判断されるおそれがあります。聞かれたら、事実を簡潔に伝え、反省と今後どうするかを話せるよう準備しておきましょう。
公務員の「諭旨免職」は?
国家公務員法の懲戒処分は、免職・停職・減給・戒告の4種類です。人事院の「懲戒処分の指針」にも「諭旨」という区分はありません。報道などで使われる「諭旨免職」は、法律上の懲戒処分の名前ではない点に注意しましょう。
懲戒解雇の条件・退職金・解雇予告手当・転職への影響は、こちらで詳しく解説しています。
よくある質問
※本記事は2026年10月時点の公表情報(厚生労働省「確かめよう労働条件」・モデル就業規則、人事院、裁判例、BUSINESS LAWYERSの弁護士解説)をもとに作成しています。個別の処分の有効性は、弁護士や労働基準監督署の総合労働相談コーナーにご相談ください。



