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「公務員を辞めたら失業保険は出ないって本当?」「退職願はいつまでに出せばいい?」——民間の会社員とは仕組みが違うので、公務員の退職は調べてもわかりにくいところが多いです。
結論から言うと、公務員は原則として雇用保険(失業保険)に入っていません。その代わりに退職手当があり、退職手当が失業保険の額より少ない人には、差額にあたる「失業者の退職手当」が出る仕組みがあります。この記事では、お金・辞め方・退職後の健康保険と年金を、法令と内閣人事局などの資料に沿って整理しました。
・退職手当が失業保険の額に満たない人は、「失業者の退職手当」で差額にあたる分を受け取れる(国家公務員は勤続12か月以上が原則)
・自己都合で辞めると退職手当は少なくなる(勤続10年の支給率:自己都合5.022、定年等8.37)
・辞めるには辞職願を出し、任命権者の承認(辞令)を受ける。民間のように「申し出から2週間で自動的に辞められる」仕組みではない
・退職後の健康保険は、共済組合の任意継続(20日以内に申出・最長2年)か国民健康保険
目次
公務員は失業保険(雇用保険)に入っていない
雇用保険法6条6号は、国や地方公共団体などに雇われている人のうち、離職したときに受け取る給与(退職手当など)が失業保険の給付を上回ると認められる人を、雇用保険の対象から外しています。具体的には、雇用保険法施行規則4条で次のように決まっています。
| 勤め先 | 雇用保険の扱い |
|---|---|
| 国(国家公務員) | 対象外。ただし常勤以外の職員で、退職手当法の「職員」とみなされない人は対象になる |
| 都道府県など | 都道府県などの長が厚生労働大臣に申請して承認を受けた職員は対象外 |
| 市町村など | 市町村などの長が都道府県労働局長に申請して承認を受けた職員は対象外 |
出典:雇用保険法6条6号、雇用保険法施行規則4条
非常勤職員・会計年度任用職員は加入している場合がある
自治体の会計年度任用職員などは、週20時間以上・任期31日以上などの条件を満たせば雇用保険に加入するとしている自治体があります。自分が加入しているかは、任用通知書や給与明細(雇用保険料が引かれているか)、人事担当課で確認してください。
退職手当が少ないときは「失業者の退職手当」で差額がもらえる
国家公務員退職手当法10条には、退職手当の額が、雇用保険に入っていたとしたらもらえた失業保険の額に満たない人のための「失業者の退職手当」があります。内閣人事局は、支給の要件を次の4つとしています。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| ① 勤続期間 | 原則として12か月以上(特定退職者は6か月以上) |
| ② 金額 | 受け取った退職手当の額が、雇用保険の失業等給付に相当する額に満たない |
| ③ 期間 | 原則として退職した日の翌日から1年以内に失業している |
| ④ 待期 | 待期日数(退職手当の額 ÷ 基本手当日額)を超えて失業している |
受け取れるのは、待期日数を超えて失業している日について、基本手当の日額にあたる額です。内閣人事局の計算例(任期満了、27歳、勤続1年)では、退職手当191,505円に対して、失業者の退職手当として57日分・合計325,869円が支給されています。
地方公務員も、各自治体の条例や規則で、国と同じような仕組みが定められているのが一般的です(例:広島市「失業者の退職手当支給規則」)。詳しくは勤め先の人事担当課に確認してください。
出典:国家公務員退職手当法10条、内閣人事局「失業者の退職手当」の解説ページ(令和8年8月1日以降の退職は、厚生労働省告示の額で計算)
公務員の退職手当の計算方法
国家公務員の退職手当は、基本額+調整額で計算します。
| 項目 | 計算 |
|---|---|
| 基本額 | 退職日の俸給月額 × 退職理由・勤続期間別の支給率 × 調整率(83.7/100) |
| 調整額 | 在職中の各月の「調整月額」のうち、多い順に60か月分の合計。勤続9年以下の自己都合退職では支給されず、勤続10〜24年の自己都合退職では半額 |
自己都合と定年等で、支給率はどれくらい違う?
| 勤続年数 | 自己都合 | 定年等 |
|---|---|---|
| 10年 | 5.022 | 8.37 |
| 20年 | 19.6695 | 24.586875 |
| 25年 | 28.0395 | 33.27075 |
| 30年 | 34.7355 | 40.80375 |
出典:国家公務員退職手当法3条、内閣人事局「退職手当の支給率早見表」(平成30年1月1日以降の退職)。支給率は俸給月額にかける月数です。地方公務員は各自治体の条例によります。
たとえば勤続10年の人なら、自己都合で辞めると、定年等で辞める場合のおよそ6割になります。退職手当は、国家公務員の場合、退職した日から1か月以内に支払われることになっています(国家公務員退職手当法2条の3第2項)。
公務員の辞め方|辞職願と任命権者の承認
民間の会社員は、期間の定めがなければ申し出から2週間で辞められます(民法627条)。一方、公務員の退職は、任命権者が辞職を承認する(辞令を出す)ことで効力が生じる仕組みです。
| 根拠 | 内容 | |
|---|---|---|
| 国家公務員 | 国家公務員法61条、人事院規則8-12第51条 | 職員が書面で辞職を申し出たときは、任命権者は「特に支障のない限り、これを承認するものとする」 |
| 地方公務員 | 各自治体の規程と運用 | 辞職願を出し、任命権者が承認して辞令を交付する |
最高裁は、公務員の任免などの処分は、辞令の交付などで本人が知ることができる状態になったときに効力を生じるとしています(昭和29年8月24日判決)。そのため、民間のように「申し出てから2週間たてば自動的に辞められる」とは考えないほうが安全です。
退職願はいつ出す?
「何日前までに出す」という決まりは、法令には見当たりません。後任の配置や年度の区切りがあるので、まずは上司と人事担当課に早めに相談し、職場の規程を確認するのが確実です。
出した退職願は撤回できる?
最高裁は、公務員の退職願は、免職の辞令が交付されるまでは原則として撤回できるとしています。ただし、撤回が信義に反すると認められる特段の事情がある場合は撤回できないとしています(昭和34年6月26日判決)。
退職後の健康保険|任意継続か国民健康保険か
| 選択肢 | 条件・期限 | ポイント |
|---|---|---|
| 共済組合の任意継続 | 退職の日の前日まで続けて1年以上組合員だった人。退職の日から20日以内に申し出る | 最長2年。掛金は自分で払う(期限までに払わないと資格を失う) |
| 国民健康保険 | 住所地の市区町村に14日以内に届け出る | 前年の所得で保険料が決まる |
| 家族の扶養に入る | 家族の勤め先の健康保険の条件による | 収入の条件を確認する |
任意継続の掛金は、共済組合や年度によって違います。どちらが安いかは、共済組合の掛金と、市区町村で試算した国民健康保険料を比べて決めましょう。
出典:国家公務員共済組合法126条の5、地方公務員等共済組合法144条の2、国民健康保険法施行規則3条
退職後の年金|厚生年金から国民年金へ
2015年10月1日から、公務員も会社員と同じ厚生年金に加入しています(被用者年金の一元化)。退職して再就職しない20歳以上60歳未満の人は、国民年金の第1号被保険者への切り替えが必要です。扶養されていた配偶者も、第3号から第1号への手続きが必要です。収入が減って保険料を払うのが難しいときは、失業を理由とした免除の特例があります。
データで見る公務員の離職
人事院によると、2023年度(令和5年度)の国家公務員の離職者は19,435人、離職率は6.8%でした。また、総合職の若手の退職について人事院が2022年に公表した調査では、在職10年未満で退職した総合職は2020年度に109人で、2013年度より43.4%増えていました。
出典:人事院「令和6年度 年次報告書」、人事院「総合職試験採用職員の退職状況に関する調査」(令和4年5月)
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よくある質問
まとめ|公務員の退職は「退職手当」と「辞令」の2つを確認
- ✅ 公務員は原則として雇用保険の対象外。非常勤・会計年度任用職員は加入している場合がある
- ✅ 退職手当が失業保険より少なければ「失業者の退職手当」で差額を受け取れる(退職票を持ってハローワークへ)
- ✅ 自己都合だと退職手当の支給率は低くなる
- ✅ 辞職願を出し、任命権者の承認(辞令)を受けて退職する。時期は早めに人事担当課に相談
- ✅ 健康保険は任意継続(20日以内)か国民健康保険(14日以内)
- ✅ 年金は国民年金への切り替えを忘れずに



