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「勤続3年で会社を辞めたら、退職金はいくらくらい出るんだろう?」——入社して3年。「まずは3年」を区切りに転職を考える人は多く、そのとき気になるのが退職金です。
結論から言うと、都内の中小企業のモデル額では、勤続3年の退職金は約19.6万〜30.4万円です。ただし、これは「退職金制度がある会社」の平均的なモデルで、学歴や辞め方(自己都合か会社都合か)で変わり、そもそも制度がない会社もあります。この記事では、東京都の公的な調査をもとに、勤続3年の退職金の目安、税金、受け取る前に確認すべきことを人事・労務の実務経験から整理します。
・月給(所定内賃金)の約0.9か月分(自己都合)〜1.3か月分(会社都合)が目安(大学卒)
・勤続3年の退職金は少額。規程で一定の勤続年数を支給条件にしている会社もあり、条件に届く前に辞めるとゼロになることがある
・都内中小で退職金制度があるのは64.2%。約3社に1社は制度がない
・勤続3年なら退職所得控除は120万円。退職金が120万円以下なら所得税・住民税はかからない(「退職所得の受給に関する申告書」の提出が前提)
目次
勤続3年の退職金の相場|中小企業のモデル額
東京都が都内の中小企業(従業員10〜299人)を対象に2年ごとに行っている調査では、学校を卒業してすぐ入社し、標準的に昇進した人の「モデル退職金」が勤続年数別に公表されています。勤続3年の数字は次のとおりです。
| 学歴(年齢の目安) | 自己都合退職 | 会社都合退職 | 月給の何か月分か |
|---|---|---|---|
| 大学卒(25歳前後) | 21.5万円 | 30.4万円 | 自己都合0.9か月/会社都合1.3か月 |
| 高校卒(21歳前後) | 19.6万円 | 26.6万円 | 自己都合0.9か月/会社都合1.3か月 |
出典:東京都労働相談情報センター「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」(都内の従業員10〜299人の中小企業、令和6年7月31日現在、有効回答659社)。調査産業計。月給は所定内賃金(大学卒23.4万円・高校卒20.8万円)。勤続3年・5年の値はニッセイビジネスインサイトの整理による
会社の規模による違い(大学卒・勤続3年)
| 従業員数 | 自己都合退職 | 会社都合退職 |
|---|---|---|
| 10〜49人 | 21.5万円 | 31.1万円 |
| 50〜99人 | 18.5万円 | 23.5万円 |
| 100〜299人 | 25.4万円 | 36.8万円 |
出典:東京都労働相談情報センター「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」(都内の従業員10〜299人の中小企業、令和6年7月31日現在、有効回答659社)の企業規模別モデル退職金(ニッセイビジネスインサイトの整理による)
勤続3年前後で退職金が出ないことがある理由
退職金規程では、「勤続◯年以上の者に支給する」と、一定の勤続年数に満たない人には払わないと定めていることがあります。何年以上かは会社ごとに違うので、規程の「支給対象」の欄を確認してください。
また、会社が中退共(中小企業退職金共済)に入っている場合、掛金を納めた月数が12か月未満だと退職金は出ません。勤続3年(36か月)なら、掛金の合計と同じ額が中退共から支払われます。
自分の退職金をざっくり計算する方法
多くの会社の退職金は「退職時の基本給 × 勤続年数に応じた支給率(月数)」という形で決まっています。上の調査の支給率(大学卒)を使うと、勤続3年の目安は次のように計算できます。
| 月給(基本給) | 自己都合(×約0.9か月) | 会社都合(×約1.3か月) |
|---|---|---|
| 20万円 | 約18万円 | 約26万円 |
| 22万円 | 約19.8万円 | 約28.6万円 |
| 25万円 | 約22.5万円 | 約32.5万円 |
| 28万円 | 約25.2万円 | 約36.4万円 |
調査の平均的な支給率を当てはめた試算です。会社によっては「基本給」に手当を含めない、勤続年数ごとの係数表がある、自己都合だと減額率をかける、など計算方法が違います。
ほかの勤続年数と比べると
退職金は、勤続年数が長くなるほど増え方が大きくなるのが一般的です。同じ調査の大学卒のモデル額を並べます。
出典:東京都労働相談情報センター「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」(都内の従業員10〜299人の中小企業、令和6年7月31日現在、有効回答659社)。調査産業計・大学卒。3年・5年はニッセイビジネスインサイトの整理による
勤続3年の退職金は、10年(112.5万円)の約5分の1です。退職金だけを理由に辞める時期を大きく変えるほどの差にはなりにくいので、規程の支給条件だけ確認したうえで、転職先の条件や自分の体調を優先して決めて大丈夫です。
自己都合と会社都合でなぜ差が出るのか
多くの退職金規程では、自己都合で辞めた場合に支給率を下げる仕組みがあります。上の調査でも、勤続3年の大学卒で自己都合は会社都合の約71%でした。
注意したいのは、ここでいう「自己都合・会社都合」は会社の退職金規程での区分だということです。失業保険(雇用保険)の離職理由の判断とは別物で、ハローワークで会社都合(特定受給資格者)と認められても、退職金規程の上では自己都合のまま、ということもあります。
退職金がない会社・少ない会社もある
退職金は法律で必ず払わなければならないものではありません。東京都の同じ調査では、退職金制度がある都内中小企業は64.2%でした。
| 確認すること | どこを見るか |
|---|---|
| 退職金制度があるか | 就業規則・退職金規程。制度がある会社は、対象者・計算方法・支払時期を就業規則に書くことが労働基準法89条で決められている |
| 自分が対象か | パート・契約社員・試用期間中は対象外としている規程もある。「勤続◯年以上」を支給の条件にしている規程もある |
| 勤続年数の数え方 | 入社日から数えるか、試用期間・休職期間を含むか、1年未満の端数をどう扱うか |
| 中退共などの外部制度 | 中退共に入っている会社なら、退職金は中退共から直接支払われる。掛金を納めた月数が12か月未満だと支給されず、24〜42か月(勤続3年はここに入る)は掛金の合計と同じ額になる |
| 支払時期 | 規程で決まっていればその日。支払日は会社ごとに違う |
出典:東京都「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」、労働基準法89条3号の2、厚生労働省「中小企業退職金共済制度 退職金の金額」
勤続3年の退職金にかかる税金
退職金には「退職所得控除」という大きな控除があります。勤続20年以下なら40万円×勤続年数(最低80万円)なので、勤続3年なら120万円までは税金がかかりません。
| 退職金の額(勤続3年) | 所得税・住民税 |
|---|---|
| 120万円以下 | かからない |
| 120万円を超える | (退職金-120万円)×1/2 を退職所得として、ほかの所得と分けて計算(勤続5年以下の場合、控除後300万円を超える部分は1/2にならない) |
出典:国税庁タックスアンサーNo.1420「退職金を受け取ったとき(退職所得)」(令和8年4月1日現在法令等)
勤続3年の退職金のモデル額は控除の範囲に収まるので、多くの人は税金がかかりません。ただし、会社に「退職所得の受給に関する申告書」を出していないと、退職金から一律20.42%の所得税等が源泉徴収されます(確定申告で精算できます)。退職時に会社から渡されたら、必ず提出してください。
受け取る前に確認しておきたいこと
転職エージェント(有料職業紹介事業者)は、求職者は原則無料で使えます。在職中に相談して、退職日や退職金の支給日と入社日の調整を考えておくと、収入の空白を作らずに済みます。
紹介される求人や結果は人によって異なります。応募するかどうかは自分で決められます。35歳以上の人は、ハローワークの職業相談もあわせて使うのがおすすめです。
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よくある質問
まとめ|勤続3年は「規程を確認してから」辞める日を決める
- ✅ 都内中小企業のモデル額は約19.6万〜30.4万円(学歴・辞め方で変わる)
- ✅ 目安は月給の約0.9か月分(自己都合)〜1.3か月分(会社都合)
- ✅ 約3社に1社は退職金制度がない。まず退職金規程を確認
- ✅ 勤続年数の端数の扱いで、辞める日によって額が変わることがある
- ✅ 120万円までは非課税。「退職所得の受給に関する申告書」を必ず出す



