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退職の手続き

退職所得控除とは?計算式と勤続年数別の早見表|退職金の税金はいくらか元人事が解説

退職所得控除とは?勤続年数別の早見表

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「退職金に税金はかかるの?」「退職所得控除っていくら引けるの?」——退職金をもらう前に、多くの人が気になるところです。

結論から言うと、退職金には「退職所得控除」という大きな非課税枠があり、勤続年数が長いほど枠が広がります。勤続20年なら800万円、30年なら1,500万円まで、退職金に税金はかかりません。この記事では、計算式・勤続年数別の早見表・税金の計算例・iDeCoとの受け取り順のルールまで、国税庁の情報をもとに整理します。

💡 先に結論
・退職所得控除は、勤続20年までは1年40万円、20年を超えると1年70万円ずつ増える(最低80万円)
・退職金から控除を引いた残りをさらに半分にした金額にだけ税金がかかる
・会社に「退職所得の受給に関する申告書」を出せば、原則として確定申告は不要。出さないと一律20.42%が引かれる
勤続年数別の退職金の目安
勤続3年 | 勤続5年 | 勤続10年 | 勤続15年 | 勤続20年
東京都「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」のモデル額をもとに、税金・自己都合との差もまとめています。
目次
  1. 退職所得控除とは|退職金から差し引ける「非課税枠」
  2. 退職所得控除の計算式|勤続20年で区切って計算する
  3. 【早見表】勤続年数別の退職所得控除額
  4. 退職金の税金はいくら?|計算例で確認
  5. 「2分の1」にならないケース|役員と勤続5年以下の人
  6. 申告書を出さないと20.42%引かれる|確定申告が必要になる
  7. iDeCoと退職金|受け取る順番で控除が変わる(10年ルール・19年ルール)
  8. よくある質問

退職所得控除とは|退職金から差し引ける「非課税枠」

退職所得控除は、退職金(退職手当・一時金など)を受け取ったときに、その金額から差し引ける控除です。退職金は長年の勤務に対する「後払いの給料」の性質があり、退職後の生活の支えにもなるため、毎月の給料よりも税金が軽くなるように作られています。

税金が軽くなる仕組みは2段階です。まず退職所得控除を引き、残った金額を2分の1にします。そのうえで、ほかの所得と分けて(分離課税)税率をかけます。

図解:退職金にかかる税金の計算の流れ

4つのステップ

① 退職金の額
源泉徴収前の額面
② 退職所得控除を引く
勤続年数で決まる
③ 残りを2分の1
原則
④ 税率をかける
所得税+住民税10%

③の「2分の1」は、役員として勤続5年以下の人などは使えません(下で説明します)。

退職所得控除の計算式|勤続20年で区切って計算する

勤続年数 退職所得控除額
20年以下 40万円 × 勤続年数(80万円に満たないときは80万円)
20年超 800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)

勤続年数に1年未満の端数があるときは、1年に切り上げます。たとえば勤続10年2か月なら11年として計算します(国税庁の例)。また、障害者になったことが直接の原因で退職した場合は、上の金額に100万円が加算されます。

【早見表】勤続年数別の退職所得控除額

下の表の金額までの退職金なら、退職所得控除だけで差し引ききれるため、税金はかかりません(申告書を提出している場合)。

勤続年数 退職所得控除額 勤続年数 退職所得控除額
1年 80万円 21年 870万円
2年 80万円 22年 940万円
3年 120万円 25年 1,150万円
5年 200万円 28年 1,360万円
10年 400万円 30年 1,500万円
13年 520万円 33年 1,710万円
15年 600万円 35年 1,850万円
18年 720万円 38年 2,060万円
20年 800万円 40年 2,200万円

図解:勤続年数が長いほど、非課税の枠は大きくなる

勤続5年200万円
勤続10年400万円
勤続20年800万円
勤続30年1,500万円
勤続40年2,200万円

勤続20年を超えると、1年あたりの増え方が40万円から70万円に上がります。

退職金の税金はいくら?|計算例で確認

役員ではない会社員が、会社に「退職所得の受給に関する申告書」を出した場合の例です。所得税には復興特別所得税(2.1%)を含めています。

勤続10年・退職金500万円 勤続30年・退職金2,000万円
① 退職所得控除 40万円×10年=400万円 800万円+70万円×10年=1,500万円
② 控除後の金額 100万円 500万円
③ 2分の1(課税される退職所得) 50万円 250万円
④ 所得税+復興特別所得税 25,525円 155,702円
⑤ 住民税(10%) 約5万円 約25万円

2,000万円の退職金でも、税金の合計は約40万円です。もし同じ額を給料として受け取っていたら、税金ははるかに大きくなります。退職所得控除と「2分の1」の効果がどれだけ大きいかがわかります。

⚠ 金額が大きい人は
所得税の税率は、課税される退職所得の金額に応じて5%〜45%の7段階です(国税庁 No.2260)。上の例はいずれも低い段階に収まっています。退職金が大きい人は、会社から受け取る源泉徴収票で実際の税額を確認しましょう。

「2分の1」にならないケース|役員と勤続5年以下の人

区分 対象 計算
特定役員退職手当等 役員等として勤続5年以下の人が、その期間に対応して受け取る退職金 2分の1にしない(控除後の金額がそのまま課税対象)
短期退職手当等 役員以外で勤続5年以下の人の退職金 控除後の金額のうち300万円を超える部分は2分の1にしない(令和4年分以後)

一般の会社員で勤続5年以下でも、控除後の金額が300万円以下なら、これまでどおり2分の1になります。影響が出るのは、短い勤続で大きな退職金を受け取る場合です。

申告書を出さないと20.42%引かれる|確定申告が必要になる

退職金を受け取るときに、会社へ「退職所得の受給に関する申告書」を出すと、会社が退職所得控除を反映して正しく源泉徴収します。これで税金の手続きは終わり、原則として確定申告は不要です。住民税も、退職金から差し引かれる形で精算されます。

申告書を出さないと、退職所得控除が反映されず、退職金の額に一律20.42%が源泉徴収されます。この場合は、自分で確定申告をして払いすぎた税金を取り戻します。

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iDeCoと退職金|受け取る順番で控除が変わる(10年ルール・19年ルール)

iDeCo(個人型確定拠出年金)や企業型DCを一時金で受け取ると、これも退職所得として退職所得控除の対象になります。退職金とiDeCoの一時金を近い時期に受け取ると、控除の枠を分け合う形になるため、受け取る順番と間隔が大事です。

受け取る順番 控除の調整がかかる期間 ポイント
iDeCo等の一時金 → 退職金 前年以前9年内(いわゆる10年ルール) 2026年1月1日以後に受け取った一時金から。以前は「4年内(5年ルール)」だった
退職金 → iDeCo等の一時金 前年以前19年内(いわゆる19年ルール) 今回の改正では変わっていない

この期間内に両方を受け取ると、勤続期間の重なる部分について控除が調整され、思ったより税金がかかることがあります。2025年までにiDeCoの一時金を受け取った人は、従来の「4年内」で判定されます。受け取り方を決める前に、金融機関や税務署に確認しておくと安心です。

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よくある質問

Q. 勤続1年未満でも退職所得控除は使える?
A. 使えます。勤続年数の端数は1年に切り上げ、さらに勤続20年以下の控除は最低80万円なので、勤続1年未満でも80万円まで差し引けます。
Q. 退職金が退職所得控除より少ないとき、手続きは必要?
A. 会社に「退職所得の受給に関する申告書」を出していれば、税金はかからず、確定申告も原則不要です。申告書を出していないと20.42%が引かれてしまうので、確定申告で取り戻します。
Q. 退職所得控除は縮小される?
A. 勤続20年を超える部分の優遇を見直す議論はありますが、2026年10月時点で、控除額を縮小する改正は決まっていません(令和7年度・令和8年度の税制改正大綱で確認)。決まったのは、iDeCo等の一時金を先に受け取る場合の調整期間が4年内から9年内に延びたことです。
Q. 住民税はいつ払う?
A. 退職所得の住民税(10%)は、ほかの所得と分けて計算され、退職金を支払う会社が差し引いて納めます。自分で別に払う必要は、原則ありません。
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※本記事は2026年10月時点の国税庁タックスアンサー(No.1420・No.2732・No.2260)、財務省の税制改正大綱、所得税法施行令をもとに作成しています。税額は概算です。実際の税額は、会社が発行する退職所得の源泉徴収票や税務署でご確認ください。

海田
この記事を書いた人
海田 次郎
人事5年・労務5年の実務を経て、退職支援会社で退職相談の面談を1,000件以上担当。会社側と辞める側の両方を見てきた経験から、制度は一次情報で確認し、サービスの弱点も含めて正直に書くことを方針にしています。

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