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「明日から来なくていい」「成績が悪いからクビ」——突然の解雇に、納得できない人は多いと思います。日本の法律では、会社は自由に社員を解雇できるわけではありません。理由が不十分な解雇は、法律上「無効」になります。これがいわゆる不当解雇です。
この記事では、解雇が無効になる基準、法律で禁止されている解雇、解雇されたときにまずやること、無料で使える相談先を、条文と厚生労働省・裁判所の案内に沿って整理しました。
・契約社員などの期間の途中の解雇は、「やむを得ない事由」がなければできない(同17条)
・労災で休んでいる期間、産休中、育休の申出、妊娠・出産、労基署への申告などを理由にした解雇は法律で禁止
・解雇されたら、解雇理由証明書をもらう・退職届や合意書に安易にサインしない・解雇予告手当を確認する
・相談は無料の総合労働相談コーナー(全国378か所)から。あっせん・労働審判・訴訟と段階がある
目次
不当解雇とは|解雇が無効になる基準
解雇とは、会社が一方的に労働契約を終わらせることです。労働契約法16条は、次のように定めています。
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
つまり、解雇が有効になるには、①客観的に見て合理的な理由があること、②その理由で解雇まですることが社会通念上相当であること、の両方が必要です。この2つを満たさない解雇が、一般に「不当解雇」と呼ばれています。どちらに当たるかは、最終的には裁判所が個別の事情を総合して判断します。
契約社員・パートの「期間の途中の解雇」はさらに厳しい
契約期間が決まっている人について、労働契約法17条1項は「やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない」と定めています。厚生労働省も、期間の定めのない契約より有効性が厳しく判断されると説明しています。
解雇の種類と判断のポイント
| 種類 | どんな解雇か | 判断のポイント |
|---|---|---|
| 普通解雇 | 勤務成績・勤務態度・健康上の理由などによる解雇 | 改善の見込みがないか、指導や配置転換などを尽くしたか |
| 整理解雇 | 経営悪化による人員整理のための解雇 | 下の4つの事項(4要件・4要素) |
| 懲戒解雇 | 重大な規律違反や非行に対する懲戒処分としての解雇 | 就業規則に懲戒の理由と種類が定められているか。処分が重すぎないか(労働契約法15条) |
整理解雇の4要件(4要素)
| 事項 | 内容 |
|---|---|
| ① 人員削減の必要性 | 人を減らさなければならない経営上の必要があるか |
| ② 解雇を避ける努力 | 配置転換や希望退職者の募集など、解雇以外の方法を尽くしたか |
| ③ 人選の合理性 | 誰を解雇するかの基準が客観的・合理的で、公正に運用されたか |
| ④ 手続きの妥当性 | 労働組合や社員に十分に説明し、協議したか |
厚生労働省は、整理解雇の有効性はこの4つの事項に照らして厳しく判断されると説明しています。資料によって「4要件」とも「4要素(総合して判断)」とも表現されています。
出典:厚生労働省「労働契約の終了に関するルール」、同「確かめよう労働条件」、兵庫労働局「解雇・退職」
法律で禁止されている解雇一覧
次の理由による解雇は、それぞれの法律で禁止されています。
| 禁止されている解雇 | 根拠 |
|---|---|
| 仕事中のけがや病気で休業している期間とその後30日間の解雇 | 労働基準法19条 |
| 産前産後休業の期間とその後30日間の解雇 | 労働基準法19条 |
| 国籍・信条・社会的身分を理由とする解雇 | 労働基準法3条 |
| 労働基準監督署に申告したことを理由とする解雇 | 労働基準法104条2項 |
| 性別を理由とする解雇 | 男女雇用機会均等法6条4号 |
| 結婚・妊娠・出産・産休の取得などを理由とする解雇 | 男女雇用機会均等法9条 |
| 育児休業・介護休業の申出や取得を理由とする解雇 | 育児・介護休業法10条・16条 |
| 労働組合の組合員であること、正当な組合活動を理由とする解雇 | 労働組合法7条 |
| 公益通報(内部告発)を理由とする解雇 | 公益通報者保護法3条(無効) |
| パワハラの相談や会社の調査への協力を理由とする解雇 | 労働施策総合推進法31条2項(2026年10月1日施行。改正前は30条の2第2項) |
| 障害者であることを理由とする不当な差別的取扱い(解雇を含む) | 障害者雇用促進法35条・障害者差別禁止指針 |
| 労働局長に助言・指導を求めたことを理由とする解雇 | 個別労働紛争解決促進法4条3項 |
不当解雇になりやすい例
次のような解雇は、事情によっては無効と判断される可能性があります(最終的な判断は個別の事情によります)。
- ✅ 1回のミスだけで、注意や指導もなく解雇された
- ✅ 成績が下位というだけで、教育や改善の機会がないまま解雇された
- ✅ 就業規則に書かれていない理由で懲戒解雇された
- ✅ 妊娠を伝えた直後、育休を申し出た直後に解雇された
- ✅ 労基署に相談した、パワハラを相談した直後に解雇された
- ✅ 契約期間の途中で、特別な事情もないのに解雇された
- ✅ 予告も解雇予告手当もなく、即日解雇された
解雇されたときにまずやること
解雇を争う場合、会社に「働く意思がある」ことを伝えておく、やり取りを記録する、といった対応がとられることも多いですが、これらは事案によって判断が分かれるところです。早めに専門家(下の相談先や弁護士)に相談してください。
相談先と解決手段の比較
| 手段 | 費用 | 期間の目安 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 総合労働相談コーナー | 無料 | — | 全国378か所(労働局・労基署内)。予約不要、面談か電話。解雇も相談できる |
| 労働局長の助言・指導 | 無料 | — | 労働局長が会社に助言・指導する |
| あっせん(紛争調整委員会) | 無料 | — | 弁護士などの委員が間に入る。非公開。会社の参加は任意で、案を受け入れる義務もない |
| 労働審判(裁判所) | 申立手数料など | 平均82.6日 | 原則3回以内の期日で終わる。まず話し合い、まとまらなければ審判 |
| 通常訴訟(裁判所) | 申立手数料など | 長くかかることが多い | 地位確認と、解雇後の賃金(バックペイ)を求める |
| 法テラス | 無料相談あり(収入などの要件あり) | — | サポートダイヤル0570-078374。弁護士費用の立替制度もある |
出典:厚生労働省「個別労働紛争解決制度」「総合労働相談コーナーのご案内」、裁判所「労働審判手続」(平均審理期間は平成18年〜令和6年の実績)、法テラス
データで見る解雇トラブル(2025年度)
厚生労働省の「令和7年度 個別労働紛争解決制度の施行状況」によると、労働局へのあっせんの申請で最も多かったのは「解雇」の892件(前年度比12.6%増)でした。総合労働相談の件数は119万8,010件で、18年続けて100万件を超えています。
解雇が無効になったら|地位確認とバックペイ
厚生労働省は、法律に反する解雇は無効とされ、その場合は引き続き社員としての地位が認められ、解雇日以降に働けなかった期間の賃金を受け取る権利が生じると説明しています。裁判では、社員としての地位の確認(地位確認)と、解雇後の賃金(バックペイ)を求めるのが一般的です。
労働審判では、解雇が無効と判断された場合でも、解決金を払って契約を終わらせる内容の審判が出ることもあります(裁判所の案内)。
「解雇の金銭解決制度」はどうなった?
解雇が無効だった場合にお金を払って契約を終わらせる「金銭救済制度」は、厚生労働省の検討会や審議会で議論が続いていますが、2026年10月時点で制度化は決まっていません。
解雇されたら失業保険は「会社都合」
解雇で辞めた人は、雇用保険の特定受給資格者になります(本人の重大な責任による「重責解雇」を除く)。給付制限がなく、受け取れる日数も多くなることがあります。離職理由は、会社の主張だけでなく、本人の主張や証拠も確認してハローワークが判断します。解雇を争っている間の失業保険の扱いは、管轄のハローワークに確認してください。
| 料金 | 失業手当サポート:前払い298,000円/後払い398,000円(契約時に保証金5万円) 失業手当+傷病手当サポート:前払い440,000円/後払い550,000円(保証金10万円) |
|---|---|
| 特徴 | LINEで受給できる見込みを無料診断し、オンラインで相談。来社不要で全国から使える。 |
| 注意 | 公式ページには「受給できなければ全額返金」とある一方、特定商取引法の表記には「当社の故意又は重過失を除き、キャンセル・返金はできない」と書かれています。返金の条件は契約前に必ず書面で確認してください。 |
| 料金 | 一括払い160,000円/分割払い220,000円/後払い280,000円(初期費用0円・退職日の2か月後から全8回) |
|---|---|
| 特徴 | 給付金の申請サポートに加えて、退職代行や転職までまとめて相談できる。料金をプランごとに公開している。 |
| 注意 | 料金は受給額の何%ではなく固定。受け取れる見込み額が小さいと、費用のほうが大きくなることがあります。 |
| 料金 | 公式サイトでは公開されていません。当サイト運営者が把握している範囲では30万円前後が目安(無料相談のあと、受給見込みに合わせて案内される形式) |
|---|---|
| 特徴 | 社会保険労務士事務所の監修。傷病手当金・失業手当・再就職手当の組み合わせを相談できる。 |
| 注意 | 目安の金額は契約内容で変わります。無料相談で「総額」「支払う時期」「申し込み後にやめた場合・受給できなかった場合の返金」を必ず書面で確認してください。 |
懲戒処分としての解雇の場合のルールは、こちらにまとめました。
退職代行を考えている方によく読まれている記事
よくある質問
まとめ|解雇されても、まずはサインせずに理由を書面で
- ✅ 合理的な理由と相当性がない解雇は無効(労働契約法16条)
- ✅ 妊娠・育休・労災休業中・申告や相談を理由にした解雇は法律で禁止
- ✅ その場で退職届や合意書にサインしない
- ✅ 解雇理由証明書と解雇予告手当を確認する
- ✅ 相談は無料の総合労働相談コーナーから。あっせん・労働審判・訴訟の順に検討
- ✅ 失業保険は会社都合。離職票の理由を確認する



