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「退職給付金で最大28か月・数百万円もらえる」——SNSや広告でこんな言葉を見て、気になっている人は多いと思います。一方で「怪しい」「詐欺では?」という声もあって、何が本当なのか分かりにくいですよね。
先に結論を言うと、「退職給付金」という名前の国の制度はありません。中身は、雇用保険の失業手当(基本手当)や、健康保険の傷病手当金など、退職した人が受け取れる公的なお金をまとめた呼び方です。どれも国の制度なので、条件を満たせば、自分で申請しても受け取れます。
人事・労務として離職票を何百枚も書き、退職支援の会社で1,000件以上の相談を受けてきた立場から、退職給付金の正体、もらえる条件と金額、自分で申請する方法、そして「怪しい」と言われる理由までを整理します。
・失業手当:雇用保険に入っていて、働ける状態で仕事を探している人が対象。賃金日額の50〜80%(60〜64歳は45〜80%)
・傷病手当金:病気やけがで働けない人が対象。給与のおよそ3分の2を、通算1年6か月まで。条件を満たせば退職後も続く
・「最大28か月」は、傷病手当金1年6か月と失業手当を条件がそろった人だけが順番に受け取った場合の数字
・どれも自分で申請すれば手数料はかからない。サポート会社の費用は16万〜55万円ほど
目次
退職給付金とは|正体は「退職後にもらえる公的なお金」の総称
「退職給付金」は、給付金の申請をサポートする会社などが使っている呼び方です。法律や役所の手続きに「退職給付金」という名前の制度はなく、実際には次のような制度を指しています。
| よく「退職給付金」と呼ばれるもの | 正式な制度・窓口 | 対象になる人 |
|---|---|---|
| 失業手当(失業保険) | 雇用保険の基本手当/ハローワーク | 働く意思と能力があり、仕事を探している人 |
| 傷病手当金 | 健康保険の傷病手当金/加入していた健康保険(協会けんぽ・健保組合) | 業務外の病気やけがで働けない人 |
| 再就職手当 | 雇用保険の就職促進給付/ハローワーク | 失業手当の日数を多く残して早めに再就職した人 |
なお、会社の会計や年金の話で出てくる「退職給付」は、退職金や企業年金のことで、ここで説明する給付金とは別物です。退職金は会社ごとの制度で、法律で必ず払われるものではありません。
なぜ最近「退職給付金」をよく聞くようになったのか
失業手当(雇用保険)も傷病手当金(健康保険)も、何十年も前からある制度です。雇用保険法は1974年、健康保険法は1922年にできた法律で、制度そのものは昔から変わらず存在していました。
それでも少し前までは、「辞めたら失業保険がもらえるらしい」となんとなく知ってはいるけれど、自分が何をいくらもらえるのかは分からない、という人がほとんどでした。人事として退職の手続きをしていても、傷病手当金を退職後も受け取れることを知らずに辞めていく人を何人も見てきました。
これが変わったのは、コロナ以降だと当サイトでは見ています。
つまり、制度が新しくできたのではなく、情報の届き方が変わったことで、当たり前のように使う人が増えてきた、ということです。その一方で、広告の言葉だけが先に広まったことで、誤解やトラブルも増えています(後半で説明します)。
① 失業手当(雇用保険の基本手当)|退職給付金のいちばんの柱
失業手当は、雇用保険に入っていた人が離職し、働く意思と能力があるのに仕事が見つからないときに受け取れるお金です。ハローワークで求職の申込みをし、4週間ごとに失業の認定を受けた日数分が支給されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な条件 | 離職日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上(倒産・解雇など会社都合の場合は、離職日以前1年間に6か月以上) |
| 1日あたりの額 | 賃金日額(退職前6か月の賃金÷180)の50〜80%(60〜64歳は45〜80%)。給料が低い人ほど率が高くなる。上限・下限あり(毎年8月に見直し) |
| もらえる日数 | 離職理由・年齢・雇用保険に入っていた期間で決まる(下の表) |
| いつから | 求職の申込みから7日間の待期のあと。自己都合は原則さらに1か月の給付制限(2025年4月から。5年以内に3回目以降の自己都合は3か月) |
もらえる日数(所定給付日数)
自己都合などの一般の離職者は、雇用保険に入っていた期間だけで決まります。
| 雇用保険に入っていた期間 | 10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|
| 一般の離職者(自己都合・定年など) | 90日 | 120日 | 150日 |
倒産・解雇などで離職した特定受給資格者(と一部の特定理由離職者)は、年齢によって日数が増えます。
| 離職時の年齢 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | - |
| 30歳以上35歳未満 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 35歳以上45歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45歳以上60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60歳以上65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
障害のある人などの就職困難者は、雇用保険に入っていた期間が1年以上なら、45歳未満で300日、45歳以上65歳未満で360日です(1年未満は150日)。
失業手当を受け取るまでの流れ
② 傷病手当金|病気やけがで働けないなら、退職後も続く
傷病手当金は、健康保険の制度です。業務外の病気やけがで働けず、給与が出ないときに受け取れます。うつ病・適応障害などの心の不調も対象です。協会けんぽの案内では、次の4つが条件です。
- ✅ 業務外の病気やけがの療養のための休業であること
- ✅ 仕事に就けない状態であること(医師の意見と仕事の内容で判断)
- ✅ 連続する3日間(待期)を含み、4日以上仕事に就けなかったこと
- ✅ 休んだ期間に給与が支払われていないこと
いくらもらえる?
1日あたりの額は、支給開始日以前の継続した12か月間の標準報酬月額の平均÷30×3分の2です。
| 標準報酬月額の平均 | 1日あたり(目安) | 30日分(目安) |
|---|---|---|
| 20万円 | 約4,444円 | 約13万円 |
| 30万円 | 約6,667円 | 約20万円 |
| 40万円 | 約8,889円 | 約27万円 |
※標準報酬月額は、毎月の給与(交通費などを含む)をもとに決まる区分の金額です。上の表は計算式に当てはめた目安で、実際の額は加入している健康保険の決定によります。
いつまで?退職後も続けるには
支給期間は、支給を始めた日から通算1年6か月です。途中で働けるようになって支給が止まった期間は数えないので、「通算」で1年6か月分を受け取れます。ただし退職後は、一度働ける状態になって支給が止まると、その後また働けなくなっても再開しません。
| 退職後も受け取るための条件 | ポイント |
|---|---|
| 退職日までに、健康保険に継続して1年以上入っていた | 転職していても、健康保険の加入が途切れていなければ通算できる |
| 退職日の時点で、傷病手当金を受けているか、受けられる状態 | 待期3日間が退職日までに終わっている必要がある(待期は有給休暇や土日でもよい) |
| 退職日に出勤していない | 退職日に出勤すると「働ける状態」とみなされ、退職後の分を受け取れなくなる |
申請は、加入していた健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)に、医師の意見と(在職中の期間は)会社の証明を書いてもらった申請書を出します。1か月ごとなど、期間を区切ってまとめて申請するのが一般的です。申請できるのは、働けなかった日ごとにその翌日から2年以内です。
③ 再就職手当|早く次の仕事が決まった人へのお祝い金
失業手当をもらえる人が、所定給付日数を3分の1以上残して安定した仕事に就いたときに、残りの日数分の一部を一括で受け取れるお金です。「失業手当を最後までもらわないと損」と思われがちですが、早く決まった人ほど多く受け取れる仕組みです。
| 残っている日数(支給残日数) | 受け取れる額 |
|---|---|
| 所定給付日数の3分の2以上 | 基本手当日額 × 残りの日数 × 70% |
| 所定給付日数の3分の1以上 | 基本手当日額 × 残りの日数 × 60% |
たとえば、所定給付日数90日・基本手当日額6,000円の人が、60日分を残して再就職した場合は、6,000円×60日×70%=252,000円です(計算に使う基本手当日額には上限があり、毎年8月に見直されます)。
再就職手当の主な条件(ハローワーク)
- ✅ 就職日の前日までの失業の認定を受けたうえで、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上ある
- ✅ 1年を超えて勤務することが確実である
- ✅ 待期(7日間)が終わったあとの就職である
- ✅ 給付制限がある人は、待期のあとの1か月間はハローワークや許可・届出のある職業紹介事業者の紹介で就職した
- ✅ 離職前の会社(関連会社を含む)への再就職ではない
- ✅ 就職日前3年以内に、再就職手当などを受けていない
- ✅ 求職の申込みより前から内定していた会社ではない
- ✅ 原則として、雇用保険に入る条件での雇用である
申請は、原則として就職した日の翌日から1か月以内に、ハローワークへ「再就職手当支給申請書」を出します。
相談の現場から|起業しても再就職手当はもらえる?
当サイトの運営者が関わる退職サポートには、「パートや派遣、起業でも再就職手当の対象になるの?」という質問が13件寄せられました。実際に、失業保険を受け取っている途中で開業し、再就職手当を受け取った方もいます。その方は、開業届に加えて、事業を続けていけることを示す書類を準備していました。
- パート・契約社員・派遣:1年を超えて働く見込みがあり、原則として雇用保険に入るなら、対象になりえます。
- 起業(自営):待期7日が終わってから1か月たった後に始めた場合が対象です(ハローワーク「再就職手当とは」)。
- 準備すること:事業を始めたことを開業届などで示す必要があります。開業する前に、ハローワークに相談しておきましょう。
※当サイトの運営者が関わる退職サポートサービスに寄せられた、2026年8月までのLINE相談をもとにした件数です。個人が特定できる情報は載せていません。
「最大28か月」「数百万円」は本当?|条件がそろった人だけの数字
広告でよく見る「最大28か月」は、傷病手当金(通算1年6か月=18か月)を受け取ったあと、回復して失業手当(例:300日=約10か月)を受け取った場合を足した数字です。
・失業手当が300日になるのは、障害などで就職困難者にあたる場合などに限られます。自己都合の一般の離職者は90〜150日です。
・傷病手当金を受けるには、医師が「働けない」と判断することが前提です。働ける人が受け取ることはできません。
つまり、病気やけがで本当に働けない状態が続き、退職後も療養が必要な人が、条件を一つずつ満たした場合の「上限」です。誰でも28か月もらえるわけではありません。
退職給付金を自分で申請する流れ
サポート会社を使うと何が違う?|費用と手間を比べて決める
給付金サポート会社は、条件の確認、書類の書き方、医師やハローワークとのやり取りの準備などを手伝ってくれます。受け取れるお金そのものが増えるわけではなく、国の制度は同じです。払うのは「手間と不安を減らす」ための費用です。
| 自分で申請 | サポート会社に頼む | |
|---|---|---|
| 費用 | 0円 | 16万〜55万円ほど(当サイトで紹介している3社の場合) |
| 手間 | 制度を調べ、書類を自分でそろえる | 何をいつやるかを案内してもらえる |
| 向いている人 | 体調が落ち着いていて、調べものが苦にならない人 | 体調がすぐれず、一人で手続きを進めるのが不安な人 |
判断の目安は、「受け取れる見込み額」から「サポートの費用」を引いて、それでも頼む価値があるかです。受給額が小さい場合、費用のほうが大きくなることもあります。
| 料金 | 失業手当サポート:前払い298,000円/後払い398,000円(契約時に保証金5万円) 失業手当+傷病手当サポート:前払い440,000円/後払い550,000円(保証金10万円) |
|---|---|
| 特徴 | LINEで受給できる見込みを無料診断し、オンラインで相談。来社不要で全国から使える。 |
| 注意 | 公式ページには「受給できなければ全額返金」とある一方、特定商取引法の表記には「当社の故意又は重過失を除き、キャンセル・返金はできない」と書かれています。返金の条件は契約前に必ず書面で確認してください。 |
| 料金 | 一括払い160,000円/分割払い220,000円/後払い280,000円(初期費用0円・退職日の2か月後から全8回) |
|---|---|
| 特徴 | 給付金の申請サポートに加えて、退職代行や転職までまとめて相談できる。料金をプランごとに公開している。 |
| 注意 | 料金は受給額の何%ではなく固定。受け取れる見込み額が小さいと、費用のほうが大きくなることがあります。 |
| 料金 | 公式サイトでは公開されていません。当サイト運営者が把握している範囲では30万円前後が目安(無料相談のあと、受給見込みに合わせて案内される形式) |
|---|---|
| 特徴 | 社会保険労務士事務所の監修。傷病手当金・失業手当・再就職手当の組み合わせを相談できる。 |
| 注意 | 目安の金額は契約内容で変わります。無料相談で「総額」「支払う時期」「申し込み後にやめた場合・受給できなかった場合の返金」を必ず書面で確認してください。 |
退職給付金が「怪しい」「詐欺」と言われる理由
制度そのものは国のものなので、詐欺ではありません。それでも怪しいと言われるのは、主に次のような理由です。
- ✅ 「誰でも最大28か月」「数百万円」など、条件を書かずに大きな数字だけを出している広告がある
- ✅ 国の制度なのに、高い手数料がかかることが分かりにくい
- ✅ 「働けない」と申告することが前提なのに、働ける人にまで勧める業者がいる(事実と違う申告は不正受給になる)
- ✅ 返金の条件が、広告と契約書(特定商取引法の表記)で違うことがある
- ✅ 申し込んだあとに「やっぱりやめたい」と思っても、返金されない契約が多い
いちばん多いのは、最後の「申し込んだあとにやめたくなっても返金されない」というトラブルです。勢いで申し込み、あとから「自分で申請できると知った」「家族に反対された」と思っても、契約上は返金されないことがほとんどです。これが「お金だけ取られた=詐欺」と言われる大きな理由になっています。
- ✅ 申し込んだあとにキャンセルした場合、返金されるか(いつまでなら・いくら)
- ✅ 受給できなかった場合に、返金されるか(条件は何か)
- ✅ 料金の総額と、支払う時期(前払い・後払い・保証金)
- ✅ サポートの範囲(どこまでやってくれて、何は自分でやるのか)
契約書を結ぶときは、この4つを書面で確認してから決めましょう。口頭で「大丈夫です」と言われても、契約書に書かれていなければ守られないことがあります。
よくある質問
まとめ|退職給付金は「国の制度の総称」。まず自分が対象かを確認
退職給付金は、失業手当・傷病手当金・再就職手当など、退職後に受け取れる公的なお金の総称です。条件を満たせば自分で申請して受け取れ、手数料もかかりません。「最大28か月」は条件がそろった人の上限なので、まずは自分がどれに当てはまるかを確認しましょう。
体調がすぐれず、一人で手続きを進めるのが難しい場合は、サポート会社に相談するのも一つの方法です。その場合は、料金の総額・支払う時期・返金の条件を必ず書面で確認してから決めてください。
| 料金 | 失業手当サポート:前払い298,000円/後払い398,000円(契約時に保証金5万円) 失業手当+傷病手当サポート:前払い440,000円/後払い550,000円(保証金10万円) |
|---|---|
| 特徴 | LINEで受給できる見込みを無料診断し、オンラインで相談。来社不要で全国から使える。 |
| 注意 | 公式ページには「受給できなければ全額返金」とある一方、特定商取引法の表記には「当社の故意又は重過失を除き、キャンセル・返金はできない」と書かれています。返金の条件は契約前に必ず書面で確認してください。 |
| 料金 | 一括払い160,000円/分割払い220,000円/後払い280,000円(初期費用0円・退職日の2か月後から全8回) |
|---|---|
| 特徴 | 給付金の申請サポートに加えて、退職代行や転職までまとめて相談できる。料金をプランごとに公開している。 |
| 注意 | 料金は受給額の何%ではなく固定。受け取れる見込み額が小さいと、費用のほうが大きくなることがあります。 |
| 料金 | 公式サイトでは公開されていません。当サイト運営者が把握している範囲では30万円前後が目安(無料相談のあと、受給見込みに合わせて案内される形式) |
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| 特徴 | 社会保険労務士事務所の監修。傷病手当金・失業手当・再就職手当の組み合わせを相談できる。 |
| 注意 | 目安の金額は契約内容で変わります。無料相談で「総額」「支払う時期」「申し込み後にやめた場合・受給できなかった場合の返金」を必ず書面で確認してください。 |
確認した一次情報(2026年10月2日): 全国健康保険協会(協会けんぽ)「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」/ハローワークインターネットサービス「基本手当について」「基本手当の所定給付日数」/ハローワーク犬山「再就職手当について」/各サービスの公式サイト・特定商取引法に基づく表記。制度の運用や各社の料金は変わることがあるので、最終的には各窓口・各社で確認してください。



