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「勤続15年で会社を辞めたら、退職金はいくらくらい出るんだろう?」——勤続15年は30代後半。家族や住宅ローンのことも考えながら、この先の働き方を見直す人が出てくる時期です。
結論から言うと、都内の中小企業のモデル額では、勤続15年の退職金は約190.3万〜255.9万円です。ただし、これは「退職金制度がある会社」の平均的なモデルで、学歴や辞め方(自己都合か会社都合か)で変わり、そもそも制度がない会社もあります。この記事では、東京都の公的な調査をもとに、勤続15年の退職金の目安、税金、受け取る前に確認すべきことを人事・労務の実務経験から整理します。
・月給(所定内賃金)の約6.6か月分(自己都合)〜8.1か月分(会社都合)が目安(大学卒)
・勤続15年の退職金は10年のほぼ2倍。20年にかけてさらに約1.7倍に増える
・都内中小で退職金制度があるのは64.2%。約3社に1社は制度がない
・勤続15年なら退職所得控除は600万円。退職金が600万円以下なら所得税・住民税はかからない(「退職所得の受給に関する申告書」の提出が前提)
目次
勤続15年の退職金の相場|中小企業のモデル額
東京都が都内の中小企業(従業員10〜299人)を対象に2年ごとに行っている調査では、学校を卒業してすぐ入社し、標準的に昇進した人の「モデル退職金」が勤続年数別に公表されています。勤続15年の数字は次のとおりです。
| 学歴(年齢の目安) | 自己都合退職 | 会社都合退職 | 月給の何か月分か |
|---|---|---|---|
| 大学卒(37歳前後) | 209.3万円 | 255.9万円 | 自己都合6.6か月/会社都合8.1か月 |
| 高校卒(33歳前後) | 190.3万円 | 237.3万円 | 自己都合6.9か月/会社都合8.6か月 |
出典:東京都労働相談情報センター「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」(都内の従業員10〜299人の中小企業、令和6年7月31日現在、有効回答659社)。調査産業計。月給は所定内賃金(大学卒31.7万円・高校卒27.7万円)
会社の規模による違い(大学卒・勤続15年)
| 従業員数 | 自己都合退職 | 会社都合退職 |
|---|---|---|
| 10〜49人 | 215.6万円 | 255.9万円 |
| 50〜99人 | 183.7万円 | 222.3万円 |
| 100〜299人 | 219.4万円 | 302.6万円 |
出典:東京都労働相談情報センター「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」(都内の従業員10〜299人の中小企業、令和6年7月31日現在、有効回答659社)の企業規模別モデル退職金(ニッセイビジネスインサイトの整理による)
自分の退職金をざっくり計算する方法
多くの会社の退職金は「退職時の基本給 × 勤続年数に応じた支給率(月数)」という形で決まっています。上の調査の支給率(大学卒)を使うと、勤続15年の目安は次のように計算できます。
| 月給(基本給) | 自己都合(×約6.6か月) | 会社都合(×約8.1か月) |
|---|---|---|
| 28万円 | 約184.8万円 | 約226.8万円 |
| 32万円 | 約211.2万円 | 約259.2万円 |
| 35万円 | 約231万円 | 約283.5万円 |
| 40万円 | 約264万円 | 約324万円 |
調査の平均的な支給率を当てはめた試算です。会社によっては「基本給」に手当を含めない、勤続年数ごとの係数表がある、自己都合だと減額率をかける、など計算方法が違います。
ほかの勤続年数と比べると
退職金は、勤続年数が長くなるほど増え方が大きくなるのが一般的です。同じ調査の大学卒のモデル額を並べます。
出典:東京都労働相談情報センター「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」(都内の従業員10〜299人の中小企業、令和6年7月31日現在、有効回答659社)。調査産業計・大学卒。3年・5年はニッセイビジネスインサイトの整理による
勤続15年の退職金は10年の約1.9倍、20年では15年の約1.7倍(346.8万円)になります。この先の5年で退職金が約140万円増える計算なので、辞める時期に迷っているなら、規程で自分の20年時点の額も計算しておくと判断しやすくなります。
自己都合と会社都合でなぜ差が出るのか
多くの退職金規程では、自己都合で辞めた場合に支給率を下げる仕組みがあります。上の調査でも、勤続15年の大学卒で自己都合は会社都合の約82%でした。
注意したいのは、ここでいう「自己都合・会社都合」は会社の退職金規程での区分だということです。失業保険(雇用保険)の離職理由の判断とは別物で、ハローワークで会社都合(特定受給資格者)と認められても、退職金規程の上では自己都合のまま、ということもあります。
退職金がない会社・少ない会社もある
退職金は法律で必ず払わなければならないものではありません。東京都の同じ調査では、退職金制度がある都内中小企業は64.2%でした。
| 確認すること | どこを見るか |
|---|---|
| 退職金制度があるか | 就業規則・退職金規程。制度がある会社は、対象者・計算方法・支払時期を就業規則に書くことが労働基準法89条で決められている |
| 自分が対象か | パート・契約社員・試用期間中は対象外としている規程もある |
| 勤続年数の数え方 | 入社日から数えるか、試用期間・休職期間を含むか、1年未満の端数をどう扱うか |
| 中退共などの外部制度 | 中退共に入っている会社なら、退職金は中退共から直接支払われる。加入期間が長いほど、掛金の合計を上回る額になる |
| 支払時期 | 規程で決まっていればその日。支払日は会社ごとに違う |
出典:東京都「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」、労働基準法89条3号の2、厚生労働省「中小企業退職金共済制度 退職金の金額」
勤続15年の退職金にかかる税金
退職金には「退職所得控除」という大きな控除があります。勤続20年以下なら40万円×勤続年数(最低80万円)なので、勤続15年なら600万円までは税金がかかりません。
| 退職金の額(勤続15年) | 所得税・住民税 |
|---|---|
| 600万円以下 | かからない |
| 600万円を超える | (退職金-600万円)×1/2 を退職所得として、ほかの所得と分けて計算 |
出典:国税庁タックスアンサーNo.1420「退職金を受け取ったとき(退職所得)」(令和8年4月1日現在法令等)
勤続15年の退職金のモデル額は控除の範囲に収まるので、多くの人は税金がかかりません。ただし、会社に「退職所得の受給に関する申告書」を出していないと、退職金から一律20.42%の所得税等が源泉徴収されます(確定申告で精算できます)。退職時に会社から渡されたら、必ず提出してください。
受け取る前に確認しておきたいこと
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よくある質問
まとめ|勤続15年は「規程を確認してから」辞める日を決める
- ✅ 都内中小企業のモデル額は約190.3万〜255.9万円(学歴・辞め方で変わる)
- ✅ 目安は月給の約6.6か月分(自己都合)〜8.1か月分(会社都合)
- ✅ 約3社に1社は退職金制度がない。まず退職金規程を確認
- ✅ 勤続年数の端数の扱いで、辞める日によって額が変わることがある
- ✅ 600万円までは非課税。「退職所得の受給に関する申告書」を必ず出す



